howto_banner-PlanA

リノベーションで変えられないところはどんなところ?

howto_banner-PlanA
howto_banner-PlanB

リノベーションなら、どんなプランにも変更できそうな印象がありますが、実はできないこともあるのをご存知ですか? 

残念ながら、家を買いさえすれば何でもできる、というわけではないのです。今回は中古マンションをリノベーションする場合、変えられないところはどこなのか、チェックしていきます。

変えられないところ(1) 構造

構造は建物の骨組みになる部分です。鉄筋コンクリート造(SRC)造、鉄骨(S)造、RC造といった言葉を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
リノベーションでは、これらの構造の部分は既存のものを活用し、それ以外の建物の中身の部分をつくり直します。ですから、構造の部分は変えられない、厳密に言えば、変えません。もし、構造まで解体してしまったら、建て替え工事になってしまいます。

中古マンションを買ってリノベーションをする場合、ひとつ注意しておきたいのが「壁式構造」です。
鉄骨やRCというのは構造に使われている材質で分類した呼び方ですが、建物の支え方で分類すると、マンションは壁式構造かラーメン構造のどちらかになります。建物全体を壁で支える方法が壁式構造、柱と梁で支える方法がラーメン構造です。

  • 15A
    割り箸でお家をつくるようなイメージ。柱と梁で屋根や上の階などを支えます。
  • 15B
    レゴブロックでお家をつくるようなイメージ。壁で屋根や上の階などを支えます。

壁式構造では、間に柱をたてずに大きな空間をつくることができます。また、室内に柱や梁の出っ張りが出ないので、スッキリした空間になります。ただし、リノベーションでは、室内の壁をとることができないという点に注意が必要です。
リノベーションの実例で間仕切り壁をとって部屋を広くする例がありますが、これができるのはラーメン構造のマンションです。もし、間取りを自由に変えたいなら、壁式構造ではなく、ラーメン構造のマンションを選びましょう。

ちなみに、ラーメン構造でもすべての壁が抜けるわけではありません。耐力壁といって、地震などの外から建物に加わる力に対抗するための役割をもつ壁はとれない壁です。
どの壁がとれるのかは設計担当者に聞いてみることをお薦めしますが、自分で知りたければ、コンコンと壁を叩いてみてください。中で反響しているような軽い音がしたら、抜けることが多いです。

変えられないところ(2) 共用部

マンションには共用部と専有部があります。
共用部は皆の持ち物、専有部は自分たちだけで使うところです。共用部に含まれるのは、エントランスや外廊下、エレベーター、屋上や外壁など。意外なところでは、バルコニーも共用部に含まれます。また、窓のサッシ部分や玄関ドアの外側も共用部です。外から見えるところはだいたい共用部と思っていいでしょう。バルコニーや玄関のポストなどは基本的に自分たちしか使いませんが、誰でも見えるところにあるので共用部と考えられます。

共用部はマンションに住む全世帯が共同で所有している部分になりますから、個人で勝手に変えることはできません。マンションの管理組合を通じて、共同で維持管理していきます。

ちなみに、窓サッシは共用部なので取り替えることはできませんが、窓の内側は変更できます。窓の密閉性や防犯性を向上させたい場合、内窓をつける方法が検討可能です。

変えられないところ(3) 設備の一部

設備というのは、キッチンやお風呂などの水回り、エアコンなどの空調関係、照明関係を指します。電気・ガス・水道に関係する、いわゆるインフラに関わる部分です。

設備は設備機器とそれにつながる配管や配線からなりますが、共用部にある配管や配線は勝手に変えることはできません。たとえば、キッチン。
キッチンそのものの色や形は自由に決められますが、コンロやシンクは電気やガス、水道とつながっているため、キッチンの設置場所や機器の配置、機能などに関しては制約が出てくるケースもあります。

いくつか例を挙げてみましょう。
もし位置を変えたい場合、共用部の配管の位置は決まっているので、室内側で新たに配管を設置したり、配線を延ばしたりして調整していかなくてはなりません。ですが、物理的あるいは予算的に、希望を叶えるのが難しいことがあります。

また、ガスコンロのキッチンをIHキッチンにしたい場合、IH機器に対応した配線がマンションに備わっていなければIHキッチンには変えられません。もし配線があっても、管理規約で各世帯が使える電気容量に制限をかけていて、料理をするのに充分な電気容量が確保できない場合はIHキッチンには変えられないのです。

キッチンのほか、お風呂に追い炊き機能が欲しい場合も要注意。追い炊きのためには追い炊き管という管が必要なのですが、古い物件ではこれがついていないマンションもあります。後から増設するのはコスト的にも難しいですし、管理規約で工事を制限している場合もあるので、そうなると追い炊き付きには変えられません。

キッチンと同じように、バスタブそのものの色や形、素材は設備の機構には関わらない部分なので、自由に変えられます。洗面台の水栓や収納なども変更可能です。

設備に関しては、このようにケースバイケースでできること、できないことがあるので、設備の機能をアップグレードしたい場合や設備の設置位置を変えたい時は変えられるかどうか、設計担当者に相談してみましょう。

変えられないところ(4) 管理規約で制限されているところ

マンションは共同で使う建物ですので、マンションを管理していく上での決まりがあります。設備のところで出てきた管理規約です。学校における校則のようなもので、大まかな内容はどこでも同じですが、細かい部分のルールはマンションによって異なります。
管理規約を定めるのはマンションの管理組合です。管理組合はマンションを所有する世帯が集まってつくる組織で、どんなマンションにもあります。

リノベーションをする場合、管理規約のなかで注意して見ておきたいのがフローリングに関する規定です。
上下階の間はどうしても床・天井をつたって音が響きやすいので、フローリングを禁止している場合があります。また、禁止していなくても、使用できるフローリング材が決まっていることも。
フローリング材には遮音等級と呼ばれるランクがあって、L45、L40などのように、音をどのぐらい遮れるかで等級がついているのですが、音が響きにくいハイスペックなフローリング材しか使ってはいけないと決められている場合があるのです。遮音等級の高い材料は当然お値段もあがります。床は面積が大きいので、管理規約上はOKでも予算の都合上、断念せざるを得ないこともあるかもしれません。

やってみたいプランがあれば物件探しは慎重に 

ここまでご紹介してきたように、何でもできそうなリノベーションでも色々な制約条件があります。物件によってプランに制限が出てくる場合もあるので、フローリングや広いLDKなど、絶対にやりたいと決めていることがあれば、物件探しも慎重に進めましょう。早めにリノベーション会社を決めて、候補となる物件で自分の希望が実現できるのか、設計担当者にも相談できると安心ですね。

監修:佐藤剛(ゼロリノベ