今回のテーマは、リノベーションをする際に意識したいポイントについて。
どんな家にするかを考え始めると、あれこれ希望が出てきますが、すべてを予算内で叶えることは難しいものです。
とはいえ、せっかく家を作るのであれば、完成後に満足できる家にしたいですよね。
では、何を優先していけばよいのでしょうか?
今回はプランを考える上で、意識的に考えたい2つのポイントをご紹介します。
安心・安全にはお金をかけよう
まず、こだわるべき所は、安心・安全な素材・建材かどうか? というところ。これは何よりも大事なことです。
これから過ごす家が、大切な家族にとって苦しみの根源になってしまっては身も蓋もありません。
私は小さい頃、埃っぽいところ、使われていない部屋、ある種の家具や壁がある場所にいると、目がかゆくなったり、鼻水が出たり、喉が痛くなったりすることがよくありました。
今でこそ「シックハウス症候群」のような名前も一般的になってきましたが、小さい頃にはそんなことを知る由もありません。
周りの友達はちっとも違和感がないのに自分だけ。環境に原因があるのではなく、自分が変なのだろうと思っていたし、あまりにも身近な問題だったので、当然のこととして受け入れるしかありませんでした。外出する際は恐怖心から目薬やティッシュペーパーを必ず持っていたものです。
いつからか本能的に、あるいは何か匂いのようなもので「あっ、ここはだめだ」とわかってくるようになりました。子供の頃は自分で自分の行動を決められませんでしたが、大人になるにつれ、自分の意志でそのような場所を避けることができるようになったし、耐性もついてきたのか、症状が和らいでいきました。
私のように、お子さんやご家族が何かしらのアレルギーを持っていたりする場合は特に、良いモノ・良い素材を選ぶことをおすすめします。
安心で安全な住まいにするには、素材選びと共に、間取りも重要です。
換気や採光も、住まう人の心身に大きく影響してきます。プランニングでは部屋の見た目や雰囲気に注意が向きがちですが、安心・安全という視点もぜひ忘れずに。しっかり専門家に相談をしながら、進めてほしいと思います。
アイテム選びは「人との距離」で考えよう
安心・安全の次に考えていきたいのは、日々の満足感や幸福感です。
そこで注目したいのが「モノと人との距離感」。これは、人と触れる順番で考えていくと、分かりやすいでしょう。
家の中で生活するということは、常に部屋のどこかに触れているということ。椅子やソファー、ベッドといった家具、そして、座ったり歩いたり、寝転がったりする床などは、直接的に肌が触れるところです。そういう場所に上質なモノを選べば、生活に安らぎやぬくもり、満足感、あたたかさをもたらしてくれます。
特に、家具は後回しになりがちですが、日々ふれる家具については、早い段階から考えられるとよいですね。
一方、天井のような、生活する人とある程度距離が離れている箇所は、安く済ませてしまうのもオススメです。
天井を「現し」といって、仕上げの塗装をせずに躯体のままにすると、コストダウンができます。
お金があれば、すべての素材を上質にすればよいので、簡単な話かもしれません。しかし、限られた予算の中で優先順位を考えて「家作り」をしていくのも案外楽しいものです。
キッチンに立つ時間が長い人もいれば、お風呂が一日の最高の癒しという人もいます。ベッドで寝る時間とリビングで過ごす時間、どちらを優先したいかも人それぞれです。日常生活でふれるところで、どこにこだわりたいか、改めて考えてみましょう。
毎日ふれるところにこだわれば、リノベーションした家に帰ってきて毎日「幸せだな〜」と感じることができます。
人によって色々な尺度があるでしょうが、完成後に満足できる家にするために優先したいポイントとして、ここでは「安心・安全」「モノと人との距離」という視点をご紹介しました。
何にお金をかけて、何を節約するのか。
こだわるべきところを見極め、賢い買い物をしていただきたいと思います。