電車に乗っていて、きれいなマンションや一戸建ての写真が並んでいる広告を見かけることがあるかと思います。
その金額を見ると何千万円。
「全然ピンとこないけれど、みんな買ってるんだし、このくらいの値段もよく見るし、まあ、こんなもんじゃないの? 」って思ったりしませんか?
けれども、仮に相場としては適正な金額だったとしても、自分が住まいにかける予算として適正なのかどうかは分かりません。実際のところ、住まいにかける費用はいくらぐらいが妥当なのでしょうか。
人生でかかるお金
では、ここで、自分と家族が生きるのにかかる全てのお金から逆算して、住宅に使えるであろう金額をざっくり割り出してみましょう。
一例として、30歳男性、既婚者で平均的な給料をもらっている人をベースに計算してみます。
住宅費用を除いて、人生にかかるお金は大きく分けると、「生活のお金」「子供のお金」「老後のお金」です。
ここから、人生で必要なお金を出してみます。
(1)生活のお金
生活費、保険料などの毎月かかるお金が約15万円(住居費は別)とすると、
定年までにかかる生活費は
15万円×12ヶ月×35年(今30歳で65歳で定年の場合)=6,300万円 です。
※車や旅行、冠婚葬祭費は含みません。
(2)子供のお金
子供1人の教育費は
幼稚園3年 70万円+小学校6年 183万円+中学3年 135万円+高校3年 115万円+大学4年 327万円=830万円 です。
これは全て国公立でかなり安い場合なので、小中高大のどこかが私立だった場合を考えて+300万円とすると、
830万円+300万円=計1,130万円
※塾の費用や参考書代、部活やおこづかいの費用は含みません。
(3)老後のお金
まず、生活費が
15万円×12ヶ月×21年(男女平均寿命)=3,780万円 です。
その他にも、まとまったお金が必要になることがあります。ローン残債、リフォーム、趣味レジャー、子供への援助、車の買い替え、医療や介護、予備費などです。
これを+2,200万円とすると、
3,780万円+2,200万円=5,980万円
以上3つを合計すると、1億3,410万円になります。
これでは生きていくだけなので、たとえば塾の費用や車の購入資金、旅行費用や冠婚葬祭分として500万円追加すると、1億3,910万円。これがざっくり人生にかかるお金です。
住宅にかけられるお金は?
次に、使えるお金を平均生涯賃金から割り出していきたいと思います。
少し古いデータですが、「転職サービスDODA」によると、2014年の平均年収は442万円、生涯賃金は1億9,910万円でした。
この生涯賃金は22歳から59歳までの平均年収を足し合わせて算出された数字なので、現在30歳の人が残りの年数で稼ぐ賃金は、22歳から30歳までの8年間の平均年収をマイナスして、ざっくり1億6,500万円になります。
加えて、200万円を貯金しているものとすると、死ぬまでに使えるお金は1億6,700万円です。
※給与と貯金のほかに、老後は年金も入ってきますが、将来の支給額等が読み切れないため、今回は計算には入れていません。
このなかに人生のすべての出費をおさめなくてはなりません。
ですからまず、先ほど出した人生に必ずかかるお金、「生活のお金」「子供のお金」「老後のお金」の合計1億3,910万円をマイナスします。さらに念のため貯蓄として300万円ほどを残しておくとすると、その残りが住宅にかけられる費用です。
計算すると2,490万円、分かりやすく切り上げれば、2,500万円が住宅にかけられる費用となります。
30歳男性、既婚者で平均的な給料をもらっている人が住宅に使えるお金は 2,500万円程度。
この予算でいくと、よく広告でみる4,000万円や3,000万円の物件は、残念ながら多くの人にとって予算オーバーであることがわかります。
予算に合わせて購入する場合、都心を外れた郊外の一戸建てや、中古マンションになるのではないでしょうか。しかし、満足できない住まいに、仕方なく2,500万円を払うなんてちょっと悲しいですよね。
だからといって、予算を大幅に上回る住宅を購入してしまうと、後々になって子供の大学進学費用が足りなくなったり、老後の生活費を下げなくてはならなくなったりと、将来につけを回すことになります。
リノベーションという選択肢
では、予算を超える場合には、もう通勤に便利な場所に新しい家を買うことは諦めるしかないのでしょうか?
そんなことはありません。だからこそ、リノベーションなのです。
中古マンションであれば、通勤に便利な都市部でも予算内で候補が出てきます。リノベーションを行えば、部屋の間取りも自由に変更でき、空間デザインも自分好みにできるので、マンションの外観とエントランスを気にしない方であれば、実質的に新品の住居を持つことが可能です。
これから何十年も住むかもしれない我が家。限られた予算でも妥協せず、思い通りに暮らせる家を選びたい方は、中古住宅のリノベーションも選択肢に入れてみてはどうでしょうか。