中古マンションを購入してリノベーションする場合、どんなプロセスを踏むのでしょうか。今回は、思い立ってから引越すまでの大まかな流れをご紹介します。
「中古マンションを買う」と「リノベーションする」
全体に流れを見ていく前に、最初にひとつ押さえておきたいことがあります。
中古マンションを購入してリノベーションする場合、「中古マンションを買う」と「リノベーションする」の2つのアクションがあるということです。ここでは順番に説明していきますが、この2つは同時平行で進めていきます。図で言うと、こんな感じです。
黄色の方は中古マンションを購入する流れ、青の方はリノベーションの流れです。
では、物件選びとリノベーション会社探し、どちらから始めたらよいのでしょうか。
先にマンションを決めて、その部屋に合わせてプランをつくるのがいいのか、それとも、先にどんな部屋にしたいのかを考えて、そのイメージに合うマンションを探すのがいいのか、迷いますね。
おススメはリノベーション会社探しからのスタートです。理由は後ほど詳しく説明しますが、その方がスムーズに進めやすいから。
ということで、まずはリノベーション会社探しから詳しくみていきたいと思います。
リノベーション会社探し
情報収集
「リノベーションをする」流れの方は、候補となるリノベーション会社の情報収集から始まります。リノベーション関連のメディアや建築インテリア関係のメディアを見たり、経験者の知り合いがいれば紹介してもらったり。Webで検索すると、セミナーや見学会を実施している会社もあります。リノベーション会社選びの相談に乗ってくれるWebサービスや優良なリノベーションをしている会社のリストを公開している業界団体などもあるので、活用してみてください。
ファーストコンタクト
候補が絞れたら、リノベーション会社に連絡をとります。
最初の打ち合わせに行く前には、リノベーションを考えている時期やどんなふうに暮らしたいかを整理しておくのがおススメです。ぼんやりとでもよいので希望を伝えられると、より具体的なアドバイスや提案が聞けます。
やりたいことができるかどうかや、スケジュール感、予算感などは、依頼する会社を決める前に、きっちり確かめておきたいところです。詳しく話をしたからといって、必ずその会社と契約しなければならないというわけではないので、安心して相談してみてください。
リノベーション会社決定
頼みたい会社が決まったら、設計契約を結びます。
これは「プランを考えること」についての契約です。一般的にはプランを考えるだけでなく、プラン通りになるように現場監理をするのも業務範囲になっています。
物件探し
情報収集
「中古マンションを買う」流れの方は物件選びから始まります。
物件情報は、インターネットで簡単に検索できます。リノベーションを得意とする不動産会社から紹介してもらってもいいですね。ワンストップ型のリノベーション会社にした場合は、物件探しも手伝ってくれます。
希望条件を高く設定しすぎると、候補がゼロという場合も。条件を調整しながら、候補となる物件を探していきます。
内見
気になる物件が見つかれば、不動産会社に連絡をとって実際に見に行きます。
理想的には、この時までにリノベーション会社が決まっていて、内見に同行してもらえるのがベストです。
物件によってはできないリノベーションがあったりもしますし、気付かないところに傷みがあって思いのほか工事費用がかさむこともあります。実際にプランを担当してくれる人に、プロの目で適した物件かどうかを見てもらえると安心です。
リノベーション会社探しを先にスタートすることをおススメしたのは、こうした理由によります。
不動産会社は普段そのまま住める住宅を扱っているので、リノベーションに関しては専門外なのです。
内見して買うことを決めたら、購入申込をします。
物件購入
申し込んだ物件を購入するには、売り主と売買契約を結びます。
具体的には、重要事項説明といって物件に関する説明を聞き、契約書にサインをするという手続きです。
また、売買に伴って、登記移転もします。
この辺りになってくると、色々なことが同時進行で進みます。
住宅ローンを利用する場合は、金融機関でローンの申し込みが必要です。リノベーション費用をローンに含めるのであれば、リノベーションの概算見積りもとらないといけません。見積りをとるにはある程度、どんなリノベーションをするかという方針も固まっている必要があります。
無事にローン審査が通ったらローンの申し込み、そして、物件契約の最終的な手続きに入ります。
最初の段階では手付金しか払っていないので、残りの費用を払い、鍵をもらって引き渡し完了です。これで、晴れて自分の家になります。
リノベーション
プラン
リノベーション会社が決まったら、プランを進めていきます。ここは、リノベーションでいちばん楽しいところではないでしょうか。
何回か打ち合わせをして、どんな部屋にするのかを決めていきます。
まずはどこをどんなゾーンにするのかといった大きな方針からスタート。LDKや寝室、水周りなどの位置が決まり、レイアウトが固まったら、個別の部屋のインテリアなど細かいところを考えていきます。
考え始めると夢が膨らんで、アレもコレもやりたくなってしまうものです。けれども、現実には予算との兼ね合いがあります。工事の見積りをとって予算内におさまるかどうかも確認しながら、最終的なプランを決定します。
工事会社決定
工事の内容が決まったら、施工を担当する工事会社と工事請負契約を結びます。ワンストップのリノベーション会社の場合は、工事もリノベーション会社が担当します。
設計契約は「プランを考えること」についての契約でしたが、これは「工事すること」についての契約です。
工事請負契約を結んだら、基本的には工事内容の変更はできません。後で何か追加の工事をすることになれば、追加の費用がかかります。
工事
着工金を支払ったら、いよいよ工事に入ります。
工事期間中は音が出たり、業者さんが出入りしたりもするので、工事に入る前には近隣への挨拶も欠かせません。ご近所付き合いはここからもう始まります。
工事中には予定通り進んでいるかどうか、現場を見にいきましょう。工事の進行状況は工程表で分かりますが、中古住宅ですから工事中に想定していない事態に出くわすことも。あまりに工事が遅れると引越しを延期しなければならない可能性もあります。
なお、現場に入る際は必ず事前に工事会社に連絡を。電気工事や塗装工事など、勝手に現場をさわると危険だったり、仕上がりに影響が出たりすることもあるからです。
工事中の現場に行けば、タイルの張り方やスイッチの位置など、細かい部分も直接、職人さんにお願いすることもできます。
工事会社の担当者ともしっかりコミュニケーションをとれるとよいですね。
引き渡し
工事が完了したら、検査をして引き渡しになります。
リノベーション後の我が家とご対面です!
はやる気持ちを押さえつつ、室内を隅々までチェックします。電気はちゃんとつくか、傷や汚れはないか。工事をしたところはすべて確認し、万一、不具合を見つけたら、指摘して直してもらいましょう。
引越し
引越しについては、特にリノベーションだからという理由で、注意しなくてはならない点はありません。一般的な引越しと同様です。
不要品の処分、荷造りなどを進める一方で、日程を決めて引越し業者を手配します。また、現住所のガス・電気を止めたり、新居の水道の開栓やインターネットの開通手続きをしたりといった、インフラ関係の手続きもありますね。
引越しが完了したら、いよいよ、新生活の始まりです!
今回はリノベーションを決めてから引越すまでの大まかな流れをご紹介しました。
色々、決めたり、考えたりすることも多くて大変ですが、理想の我が家をつくっていくというのは貴重な経験です。リノベーションするプロセスもぜひ楽しんでくださいね!
監修:佐藤剛(ゼロリノベ)