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リノベーションとリフォームは何が違うの?

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リノベーションとリフォーム、どちらも既存の建物を改修するという点は同じです。でも、イメージとしては何となく違うような気もします。実際、リノベーションという言葉は最近まであまり聞く機会もなかったのではないでしょうか。
今回はリノベーションとリフォーム、何が違うのかを紹介します。

やることは同じでも意味合いが違う

リノベーションとリフォームの違いについては、さまざまな説明がされていますが、端的にいうと目的が違います。コンセプトの違いと言ってもいいかもしれません。
既存の建物を改修するという行為はどちらも同じなのですが、なぜ、そうするのか、その狙いが違うのです。ひと言でいうと、リフォームの目的は現状復帰、リノベーションの目的は価値再生と言えます。もともとの状態に戻すリフォームに対し、新たに作り替えるのがリノベーションです。

では、ここから、それぞれについて詳しくみていきましょう。

リフォームとは:新築のマイホームを直す発想からスタート

世の中に登場した順番でいうと、リフォームとリノベーションではリフォームの方が先です。
ちょっと遠回りになりますが、まず、リフォームがどういう流れで出てきたのかに触れておきます。

日本では戦後長らく「新築をどんどんつくること」で住宅産業が成り立ってきました。社会の仕組みも経済の仕組みも、どんどんつくるのに都合がいいように発展してきたのです。戦後は人の数に対して住宅が足りないので、住まいをつくることは急務でしたし、経済成長期には新築マイホームが成長を牽引する原動力のひとつにもなりました。

昭和も終わりになると、「家を新築する」という社会課題は充分に達成されます。
では、次は何をするべきなのか。そこで、出てくるのがリフォームです。

平成そして21世紀に入って、かつてのマイホームは数十年を経て、設備や内装が古くなってきていました。また、建てた当時とは家族構成や家族の年齢も変わっています。時間が経って故障や傷、汚れなどが気になるマイホームを修理したいという需要があったのです。設備の更新やバリアフリー化などのリフォーム需要に対応するため、ハウスメーカーがリフォーム部門をつくったり、リフォーム会社が登場したりして、リフォーム分野が成長していきました。

このように、リフォームというのは老朽化した新築の家を直すという発想で出てきたものです。どちらかというとアフターケアやメンテナンスに近いものと捉えてもよいかもしれません。ですから、リフォームの場合、お客様になるのは一度、家を買った人たちです。工事の内容もキッチンならキッチンを取り替える、バリアフリーなら段差をなくすといったように、ある程度、似通ってきます。

リノベーションとは:新築を買えないなら中古という発想

では、リノベーションはどうでしょうか。
こちらもまずは誕生背景を探ってみたいと思います。

新築を買うことで成り立っていた時代は、経済が右肩あがりで終身雇用への疑いもありませんでした。だから、30年、35年の住宅ローンが平気で組めたし、完済して退職金をもらって、後は悠々自適に引退生活を送るというライフプランが描けたのです。

でも、時代は変わりました。新築マイホームを買うことは、もはや、新居を探している世代にとっては当たり前にできることではありません。
高いお金を出して、通勤時間のかかる郊外にマイホームを買うことが、自分たちの幸せにつながるんだろうか。もっと他に方法はないのか、と考えた先に出てきた答えが、リノベーションです。

新築に比べて、中古住宅なら割安で手に入ります。浮いたお金を使って改装すれば、暮らす分には不都合はありません。それどころか、買ってから自分たちの好きなように改修できれば、他にはないようなオシャレな部屋、個性的な部屋になります。
別に新しくなくてもいい。それより、安くて、自分たちらしい方がいい。
そんな新しい価値観から生まれたのが、リノベーションです。

こうしたことから、リノベーションでは「新たな価値をプラスする」という発想が色濃く出ています。インテリアを自分たちらしくカスタマイズする、と言ってもよいかもしれません。工事の内容もリフォームに比べると多種多様です。

たとえば、キッチンひとつとってみても、リノベーションなら、まず、キッチンを一日のうちで誰がどのぐらい使うのか、というところから始まります。まず住む人に合わせてデザインするプロセスがあるのです。
共働きで普段は冷蔵庫にモノがほとんど入っていない家もあれば、週末に旦那さんがキッチンに立つ家もあります。子どもと会話ができることを大事にする人もいれば、ホームパーティで見せたくなるようなデザイン性を大事にする人もいます。
「家はこういうもの」「家はこうあるべき」というかたちに縛られず、住む人に合わせて作り替えていくのがリノベーションなのです。

自由に変えたいならリノベーション、キレイにするだけならリフォーム

リフォームとリノベーションはどちらも既存の住宅に手を入れるということは同じですが、やりたいことが違います。リフォームは家を修理すること、リノベーションは人に合わせて作りかえること。

中古物件を見ていると、リノベーション済み物件やリフォーム済み物件というのも出てくると思いますが、この違いを知ると両者の区別もつくのではないでしょうか。
たとえば、トイレを新しいものに取り替えて、剥がれたクロスをきれいに張り替えたのは、修繕の範囲ですから、リフォーム済み物件でしょう。その部屋に住む人を想定して、玄関を土間風に、キッチンは対面にしたら、人に合わせてカスタマイズしていますから、リノベーション済み物件と言えると思います。

とはいえ、現状では厳密な定義はありません。改修するということ自体は同じなので、リフォーム会社がリノベーションをすることもあります。
「リノベーション」はまだ新しい言葉のため、人によって捉えかたに差がある言葉だということは留意しておきましょう。

監修:佐藤剛(ゼロリノベ

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