中古の物件を生まれ変わらせるリノベーション。
大胆にフルリノベーションをした事例が目立ちますが、すべてを変更しなければならないのでしょうか?
今回はリノベーションで変えられる範囲について、まとめてみました。
どこまで変えられるかは自分次第
リノベーションを工事する範囲で分けると、大きく2つの選択肢があります。
一度スケルトンにして、ほぼゼロの状態から始めるフルリノベーションと、活用できるところはそのまま活かす部分的なリノベーションです。
スケルトンというのは柱や梁などの躯体のことです。フルリノベーションではまず、床を剥がし、壁を剥がし、天井の仕上げもとれるところまでとり、間仕切り壁も壊し、設備も取り去り、がらんどうの空間になるまで解体します。間取り図でいうと、枠だけを残して、なかを真っ白にしたような状態です。そこからスタートするので、ほぼ何でもできます。
一方、良い物件があるのなら、気になるところだけを変更するのも賢い選択です。ゼロからデザインし直せば「あの部屋がこうなったの!? 」と驚くほど変わりますが、工事の範囲が広ければ当然コストもあがります。既存の状態で使えるところがあるなら、その分のコストを他に回すことを考えてみてもよいかもしれません。どこまで手を入れるかは自分次第です。
では、部分的にリノベーションをする場合、どんなところが変えられるのでしょうか?
レイアウト
レイアウトというのは、いわゆる、間取りです。
部屋の数や配置、広さなどの室内のレイアウトはリノベーションで変えることができます。
リビングと隣り合った和室をつなげて、大きなひとつのリビングにするといったことも可能ですし、室内のレイアウト全体を変えることもできます。物置として使われていたスペースを書斎に変えるなど、部屋の広さはそのままで用途を変更するのもアリです。
ちなみに、見出しを間取りとしなかったのは、部屋の集まり=家と捉えてほしくないから。壁やドアで仕切りをつくらなくても、生活ゾーンをゆるやかに分けることはできます。
ワンルームがよい例です。ラグを敷いてソファやテレビを置けば何となくそこがくつろぐゾーンになります。キッチンのそばに机と椅子を置けば、そこは食事や書き物をする場所として機能するでしょう。
自分なりの生活習慣や家族の生活リズムってありますよね?
朝出かける時にはこういう配置で洗面台とトイレとクローゼットが並んでいるとスムーズ、夜帰ってきた時に部屋がこうなっていると寝ている人を起こさずにすむ、リビングでくつろいでいる時には何も視界に入れたくない……。
リノベーションではそういった何気ない生活習慣からレイアウトをつくっていきます。
ですから、リビングや寝室のように、よくある室名はつけられないけれど、とても便利な家事スペースが生まれたり、玄関でもあるけれど部屋でもあるといったようなフレキシブルなスペースが出てきたりします。1LDKや2LDKといった言葉では表現できない、オリジナルのレイアウトも生まれるかもしれません。
設備
古い物件を実際に見にいくと、目につくのは設備の古さです。
デザインやサイズ感が古かったり、汚れや錆がついていたりするだけではなく、時には若い人には使い方が分からないような湯沸かし器も!
けれども、設備機器は変更が可能です。キッチンやお風呂、トイレは取り替えられます。エアコンも最近のものに取り替えればコンパクトですし、省エネにもなるでしょう。
設備機器は技術がどんどん進化していますので、取り替えると生活が大きく変わるはずです。
取り替えるほかに、追加することもできます。トイレや洗面台など複数あると、便利ですよね。
最新の設備に取り替えて利便性を向上させるだけではなく、好みのデザインを取り入れてインテリア性を高めることもできます。化粧台にハリウッドミラーをつけて女優気分に。キッチンにバーカウンターをつくって家飲みをグレードアップ。……などなど、気分の上がる空間がつくれます。
キッチンやお風呂、洗面台などは、システムキッチンやシステムバスとしてセットで販売されている商品と、自分で組み合わせてつくるオーダー品とがありますが、オーダーでは金具ひとつ、収納のサイズひとつから自分で決められます。
なお、設備機器類は取り替える際に、設備工事が必要になる場合があります。電気ガス、給排水、空調など、家の外の道路まできている管や線とつながないと機器が動かないからです。設備工事が入ると金額もはりますので、使えそうな設備は触らないというのも、ひとつの選択です。
インテリア
室内の印象の決め手になるインテリア。これもリノベーションで自由に変えられます。すべて新品になれば、もう中古の物件だとは感じられません。
インテリアはモダンにも、ナチュラルにも、どんなテイストにでも変更が可能です。
床・壁・天井の仕上げ材を変えると、雰囲気が大きく変わります。床ならばフローリング、モルタル、タイルにカーペット……。材質も色々ありますし、カラーバリエーションも多様です。
壁は塗装もあれば、クロスで仕上げることもあります。天井も壁と揃えて仕上げるのか、天井だけ別にするのかといったところから自由です。
ドアなどの建具や照明も、部屋を印象づけるアクセントになりますね。基本的には世の中に売られている、すべての建材から選ぶことができるので、選択肢は無数にあります。アンティークショップやDIYショップで気に入ったモノを見つけてきて、取りつけてもらうことも可能です。
変えられないところもあるけれど、変えられるところは多い
レイアウト、設備、インテリア。ここまで、ご紹介してきたようにリノベーションで変えられないところはほとんどありません。フルリノベーションなら、そのすべてが変えられます。どんなに古そうに見える部屋も、ありきたりに感じられる部屋も、大化けする可能性を秘めています。
もちろん、場合によっては変えられないことも出てきます。物件によって制約が出てくる場合、あるいは予算の都合上できない場合、リノベーション会社が取り扱っていない場合などがあり、100%自由とは言えません。
たとえば、マンションの場合は専有部分である室内は変えられますが、共用部分である窓サッシの交換や玄関ドアの外側の改変、バルコニーの改造などはできないのです。
ただ、変えられるところを工夫すれば、ほとんどの希望は叶えられます。決められたパターンがなく、工夫ができるのがリノベーションのいいところ。プランナーさんと相談しながら、自分らしい住まいを手にいれましょう。
監修:佐藤剛(ゼロリノベ)