旅のエッセンスが溢れる宿。【ZEN Hostel】
「いい旅だった!」と思うためには、宿も大きな要素のひとつではないでしょうか。個室でゆっくり過ごすのもいいですが、せっかくの旅なのだから、いろいろな人との出会いも楽しみたいですよね。そんなニーズに応えて、老舗旅館でも高級ホテルでもなく、『ホステル』ならではの体験が注目を集めています。
233年の歴史が醸し出す、未体験の心地よさ。
長野県は山ノ内町。全国にも名を知られる温泉が数多く点在する観光の街です。ここの温泉を求めてくるのは“人”だけではありません。『地獄谷野猿公苑』には、温泉に浸かる猿をみようと季節を問わず多くの観光客が訪れています。
長らく温泉とスノースポーツがメインの観光資源であるこのエリア。そのため歴史の深いホテルと旅館が軒を連ねています。今回ご紹介するのは、そんな観光地で新たに生まれた『ZEN Hostel』です。
昔ながらの宿が持つ“風情”も観光地のおける大事な要素ですが、やはり時代のニーズに合わせて形を変えることも大切。特に近年は外国観光客も多いのでなおさらです。
『ZEN Hostel』は「古き良き旅館の質感」と「現代のニーズ」を融合させて、多くの人が出会い、その人の旅がよりよいものになる空間として人気を博しています。
まず建物は、なんと築233年。学校や役場、そして118年前からは旅館として活躍してきた場所を、歴史を受け継ぎながら改築し出来上がったものです。外観、内観ともに「和」のテイストがふんだんに取り込まれ、2世紀以上の時間の息吹が感じられる部分がしっかりと残されています。
そして、特徴的なのは『茶室』の存在。ここではお茶会を開催したり、海外の方に茶道を体験してもらうイベントが開催されたりしています。日本人でもなかなか茶室でお茶をする経験はないでしょうから、とっても貴重な旅の思い出になりそうですね。
出会いが生み出す、つぎの旅路。
『ZEN Hostel』には、10の個室と16床のベット(ドミトリー)、カフェ、ラウンジ、イベントスペース、そして前述の茶室を備えています。
この宿での醍醐味は、なんといっても、人との出会い。世界中から集まって、同じタイミングで、同じ宿にいる、ただそれだけでも共通の話題にことかきません。「今日はどこにいったの?」「次はどこにいくの?」と、自然と会話が生まれることでしょう。
その会話の中には、ガイドブックには載っていない旅の楽しみ方がたくさん詰まっているはず。普段は人見知りしている人も「旅の恥はかき捨て」と思って、ひと声かけてみてください。
そして、この町を訪れた人におすすめしておきたいのが、温泉。「それはそうだろ」と言われそうですが、この宿自体に温泉はありません。ですが、近くの旅館『よろずや』の温泉に特別価格で入ることができるのです。
この『よろずや』には、有形文化財に指定されている純木造伽藍建築の「桃山風呂」があり、このエリア屈指の名湯と、高い評価を受けています。数々の温泉が点在するエリアではありますが、この温泉は入っておいて損はありません。
ちなみに、この町で生まれ育った私からは、この時期『平和観音』の桜もおすすめしておきます。湯田中駅から、ゆっくり20分も歩けば見えてくるので町歩きがてら立ち寄ってみてください。静かな場所で桜を楽しめる貴重なスポットですよ。
ホテルや旅館しか泊まったことのない人も、ゲストハウス経験者も、分け隔てなく受け入れて繋げてくれる空間。また、そこでの経験がまた次の旅の目的にもなるかもしれません。
『ZEN Hostel』に泊まるということが、あなたの旅路をよりよくする、近道かもしれませんよ。