こんにちは!
さて、突然ですが今回はキーケースを作りなおそうと思ったんです。
最近はずっと家にいるのでやたら掃除したり、片付けに精をだしちゃうんですね。で、改めて自分の持ち物を見直す。これはいる、これはいらないから捨てちゃおう、なんて感じで。
そこで目についたのがキーケース。
今使っているのも自分が作ったもので四連。いわゆる4つの鍵がつけられるものだ。
でも……よく考えたら僕、鍵なんて一本しか持っていない。
これって無駄だよなあ、もっとシンプルでいいなあと今更にして気づいてしまった。
というわけで、今回はめっちゃシンプルなキーケースを作りますよー。
ほんとシンプルに。縫いさえもしないので(笑)
駐輪場のボス猫
だいたいこのコラムの作業は休日の午前中に家でやっている。午前中でないと光の関係により室内でうまく写真が撮れないということもありまして。これは撮影スキルの問題。
僕の部屋は一階の角部屋。そして窓の外は駐輪場。
窓を開けたら自転車を止めている人とキスができるくらいの距離感。あらやだ。甘酸っぱい。
以前までこの駐輪場に一匹の猫が住み着いていた。
白と黒の柄が混ざったよく太った猫でお世辞にも可愛いとは言えない。そのふてぶてしい面構えで僕は密かにこの近所のボス猫だと思っていた。実際に夜中によく他の猫と喧嘩もしてたしね。
休日に家で作業をしているとボス猫の鳴き声がいつも聞こえてくる。可愛くない「ぐおおおー」なんていう鳴き声が。
でもこの一年くらいそのボス猫を見かけなくなった。
野良猫の世界、それはとても厳しいものだろう。急にいなくなったとしてもなんら不思議なことではないはず。
孤高の野良猫だったから、触らせてくれたり人間に擦り寄るなんてことはない猫だった。一度触ろうとしたらありえないくらい威嚇された経験がある。
でもやはり、いつもそこにいた猫がいなくなるというのは寂しいもの。いなくなってから色々な想像をしてしまった。
しかし、僕はあまり悪い方には考えたくない。どこか他へ縄張りを変えたんだろうということにしている。
実家に来ていた猫
2019年の台風19号は記憶に新しいところ。多摩川なども氾濫したり大変な出来事だった。
その際にSNSで野良犬や野良猫が助けを求めて玄関に入ってきた、などの投稿を見た人もいるのではないだろうか。
僕にも過去にちょっと似たような経験があるんです。
あれは僕が19歳くらいのときのこと。当時、大阪に住んでいた僕は、夏休みに実家に帰省していた。
それはもうだらだらと実家で怠惰な時間を過ごしていた。
ある晩、今でテレビを観ていると廊下をトコトコと歩く音がする。
あれ? 兄は自分の部屋にいるはずだし、父と母は同じ今にいるし。
そっと障子をあけるとプリプリとお尻を振りながら歩く猫の後ろ姿。
うちの母親、理由は不明だが猫嫌いなんですよ。
そんな猫が我が物顔で家の廊下を歩いている。ありえない光景だった。
気づいた母親が慌てて猫を外に追い出す。
「また◯◯(兄)が入れたんだわ……」
どうやら兄がこっそりと窓を開けて野良猫を家の中に招き入れたらしい。そういうことをする人なんだよな。
しかし僕は猫が好きなので、これはなんだか嬉しい出来事だった。
そこから時折、家の中で猫を見かけては母が追い返す光景を繰り返しみかけた。
おそらく猫が軒先でニャーニャー泣くたびに兄が招き入れていたはずだ。そして実は僕も入れたことがある(笑)
しかし猫嫌いの母が、こっそりと食べ物をあげていたのも知っている。矛盾した人だ。
こうしてなんとなくその野良猫は、気が向いた時にいつのまにか家の中にいる妙な存在になった。
ところで不思議でもあった。なぜわざわざ家へ入ってくるのだろう?
家の中を我が物顔で歩き回る癖にろくに触らしてもくれない。なんとつれない猫なのなのだ。
そこはやはりあくまで野良猫のスタンスだった。
猫が家に入って来ていた理由。
「この猫、お腹に子供がおるんよ」
ある時、いつものように台所を歩いている猫を見て母が言った。よく見てみると確かにお腹が大きくなっている。
そうだったのか。それで家の中に入ってくるようになったのか。きっと安全な産み場所を探していたのだろう。
ある朝起きると、なにやら家の中がバタバタとしている。
兄の部屋に行くと毛布が敷いてある段ボールの中に母猫と生まれたばかりの子猫たちがみいみいと泣いている。小さくてピンク色の子猫はまだ目も開いていない。
母猫は子猫によりそうように横になっている。その顔にはやり遂げた感じを漂わせていた。
昨夜、無事に産まれたそうだ。
兄はほぼ寝ずに見守っていたらしく、ずいぶん眠そうな顔をしていた。
猫嫌いの母親もこの状況になっては腹をくくったのか、ミルクを温めたりバタバタと母猫のじゃまにならないよう世話をしていた。
僕は産まれたての子猫を初めて見たと思う。
無事に産まれて安堵する雰囲気と、まさか実家でこんな光景を目にするとは思わなかったので、なんだか不思議な気持ちだったのを覚えている。
野良猫の強さ
そのあとのことは、なぜかあまり覚えていない。
ちょうど僕は長い休みも終わりすぐに大阪に戻ったからだ。
次に帰省した時、すでに猫はいなかった。
母はさすがに猫を飼うまでの心境にはいたらなかったみたいだ。なんとか周りで飼ってくれる人を見つけたらしい。
実家で飼えばいいのに……と少しがっかりしたがそれは世話もできない僕の勝手な思いだ。
台風の時のSNSを見た時、この過去の出来事を思い出したのだ。子供のためならプライドなんかより、安全に産まれてくることを選ぶ。
それはきっと強さなんだと思う。
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