vol.21 パスタとウォレットチェーン

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ちぎれたウォレットチェーン。正確にいうとチェーンではなくレザー。

これは自分で作ったものではなく、10年ぐらい前に買ったものだ。お気に入りでずっと使っていたけど昨年とうとうちぎれてしまった。使い切った感があった。

直さなきゃな〜と思ってはいつつ、なかなか手がつけられなかった。しかし2020年も始まったことだしやりますか。

というわけで、今回はリペアします!

財布を落とすのは本当に凹む

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    金具は気に入っていたのでもちろんそのまま使う。

ウォレットチェーンをなぜ付けるのか。それは財布を落とさないためである。

以前、vol16で財布を落とした悲しみについて書いた。それはそれはとてもショックだったので今でもよく覚えている。

もう二度と財布を落としたくない。それ以来、ウォレットチェーンをつけるようになった。

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    濃い色味の方がいいのでこの革を使おう。

ウォレットチェーンというと、 いわゆるバイカーの人が付ける編み込んだ太いチェーンを思い浮かべるかもしれない。もしくはクロムハーツのシルバーのものとか。

でも僕はバイクには乗っていたけど、アメリカンのバイクではなかったし、基本的にシンプルなものの方が好みだ。

それで、このあまり飾りのないウォレットチェーンを気に入って使っていたのだ。

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    細くまっすぐ切るのは難しいな……
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    でもなんとか切れた。

ウォレットチェーンを使うシチュエーション

休日、私服の時もつけるんだけど、メインは登山の時と海外旅行の時だ。

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    床面をトコフィニッシュで滑らかに。現在愛用のトコノールがないのです。

登山の時は、いつもとは別の財布(濡れてもいいもの)を使う。

登っているときはザックの中に入れておけばいいものだ。しかし僕は過去の紛失以来、財布をなくすことがトラウマになっている。常に肌身離さずつけておかなきゃなんだか落ち着かない。それに山小屋でお金を出すときにいちいちザックの中を漁るのも大変だしね。

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    両先端に切れ込みを二つ入れる。

海外の時なんかはなおさらだ。現金とクレジットカードを無くしたらそれはもう悲劇しかないだろう。幸い今まで落としたことはないのだけれど。

そういうわけで僕はウォレットチェーンを多用していた。

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    革を編むように切り込みに通す。

不安だったアルゼンチン

少し話は変わるが先日、海外に行ってきた。

『アコンカグア』という山に登るため、南米のアルゼンチンへ行ってきたのだ。

しかしウォレットチェーンはちぎれたまま。登山の道具など、他に持っていくものに気を取られすぎて気づけば買い直す時間もなかった。

結局、ウエストポーチに常に財布を入れるようにしていたんだけど、やっぱり不安で不安でしょうがなかった。

そして無事に登山を終え、起点となる麓の街、メンドーサにてしばらく滞在することになった。

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    あとは固定するだけ。

アルゼンチンは畜産が盛んだ。

物価自体は日本とあんまり変わらない印象だったが、牛肉がかなり安い。普通のレストランだとジュース一本と手のひらサイズの分厚いステーキで1000円いくかいかないかくらい。スーパーでも大きな塊で売っていた。

こりゃ食べないわけにはいかない。そんなわけで山を降りてからは肉ばっかりを食べていた。

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    注文した時は想像してなかった大きさ。

肉に飽きてパスタへ浮気する

山から降りて三日目にして僕の胃袋は肉の許容値が限界だった。もう脂っこいものはちょっと受け付けない。若くない証拠なのか悲しくもある。

かと言ってサンドウィッチなどのパン系を頼むと、これまたとびきりでかいのが出てくる。美味しいのだけど単純に量が多い。

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    小さいカシメで先端部分をかっちりと留める。

今日の晩御飯はどうしよう……と迷いながら歩いていると、目に入ったのはミートソースパスタの写真。

通りにパラソルを立て、テーブルと椅子が並べられたレストラン。その一角のたもとに置いてある看板に各種料理の写真が貼り付けてある。その中にパスタの写真を見つけたのだ。

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そうか、パスタか。もう肉とパン以外だったらなんでもいいよ。

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    カシメの打ち付け。

そんな気持ちで席に座りメニュー表を見る。しかし全く何が書いてあるのかわからない。スペイン語しか書いていないのだ。

どれがミートソースのパスタなんだろう?正解する自信が全くないので注文を取りに来たぶっきらぼうなおじさんに看板のパスタの写真を指差す。

しかしおじさんは顔を曇らせながら何かを言っている。ニュアンスからするとどうやらミートソースのパスタは品切れか、そもそも扱っていないのか、とにかくないということみたい。

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    これで完成。今回はシンプルにリペアなのでさほど時間もかからず。

ええ〜とひどく残念そうな顔をする僕を見ておじさんは

「ちょっと待ってろ」

と言い残し(たぶん)店の奥に入って行った。

戻って来たおじさんはニカッと笑ってOKサイン。おそらく僕のために特別に作ってくれるのだろう。

また肉かパンか……と諦めかけていたのでこれは本気で嬉しかった。

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    出て来たミートソースパスタ。

あっ、これは美味しい。麺は日本のと違い平らな麺で柔らかいが、ソースとよく絡まる。量もちょうどいい。

おじさんは日焼けしている僕を見て「アコンカグアに登ったのか?」と聞いてくる。

登ったよと答えると「おお!  それはすごい! おめでとう!」とオーバーアクションで喜んでくれた。

食べてる途中も「美味いか?」と聞いてくる。親指を立ててにっこり返事をすると、嬉しそうにおじさんも指を立てた。その後もちょくちょく話しかけてきてくれる。

ぶっきらぼうなおじさんだったが、僕はこのお店が気に入ってしまい、滞在中に何度か通った。

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    財布につけるとこんな感じ。

その後、僕は他のお店でもミートソースのパスタを食べ比べてみた。やはりお店によって当たり外れがあったけどもちろんこのお店は当たりの方だ。

メンドーサの街は肉と赤ワインが有名だけど、僕にとってはパスタの方が印象に残っている。

早速着用してみた

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新宿へ行く用事があったので早速つけて出てきた。

うん。やはり安心度が違う。金具はまだまだ持ちそうなのでここから後10年、また頑張って欲しいところである。

もしかすると海外でウォレットチェーンがない不安が僕をパスタに駆り立てたのかもしれない。

いや、それはこじつけがすぎるか……。

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ねおみのる

profileneo

普段は普通のサラリーマン。
あるとき独学でレザークラフトを始め見事にはまる。

以来、頼まれた物など失敗や試行錯誤を繰り返し作り続けている。

今欲しい物はリアルに革漉き機とミシンだが、部屋に置く場所が多分ない。