夫と妻と、犬が一匹。築37年の中古マンションを買って、リノベーションをする話です。

家族紹介

family

「不動産」とはよく言ったものだ。と、思います。

「不動産」とは文字通り「動かない(動かせない)財産」という意味だとわたしは理解しているのですが、つまり、不動産を買うとき、お金を出せば中は自由に変えられるけれど、その空間がある場所は変えられないし、窓から見える景色も自由にすることはできない。何が言いたいかというと、物件選びはめちゃくちゃ大事、という話です。

修正プランがあがってきた

何はともあれ、フジコさんから修正プランがあがってきたので見てください。
まず、前々回のファーストプランの話のときに「C案をベースで」となったC案がこちらです。

  • ep02_plan_C

そして、そこから

・来客時のことを考えるとリビングとベッドスペースは分けたい
(夫が寝ているのに、わたしが泊まりにきた友人と夜中までべらべら喋ることがある)

・クローゼットの収納量が心配
(減らしても減らしても服が増えるタイプの人間がひとりいる)

という課題を共有して、修正に取り組んでいただいたのでありました。

そして、その修正プランがこちらです。(しつこいようですが、この平面図はフジコさんの提案プランをわたしが雑に再現したもので、本当はもっとちゃんとしているし精密できれいな図面です)

  • ep04_修正プラン

大きなポイントとしては、

ベッドスペースとワークスペースを入れ替え、ベッドスペースの個室性を高めた

・クローゼットの収納量が増えた

・洗面スペースがワークスペース横についた

というところです。
スッキリして、とてもいい感じだと思いました。ここから更にこまかく修正を加えていくわけですが、「リビング」「ダイニング」「キッチン」「ベッドスペース」「ワークスペース」の大きなレイアウトとしては、この段階で、最終図面とほぼ変わらない状態です。

こまかい修正の話は追々するとして。C案の図面と修正プランの図面の大きな違いにお気付きの方も多いかと思われます。今回、どうしてこの物件に決めたのかを書くにあたって、大切なポイントを描き足しました。

そうなのです。この部屋の窓からは、桜の木と、鉄塔が見えます。

20年間、眺める景色

不動産を買うのは、こわいことだと思います。「中古マンションを買ってリノベーションをする」と決めて、物件探しを始めてすぐ、「え、こわい」とわたしは思いました。一生暮らす家を決める、と思ったら、失敗するのがこわすぎて、まったく決められる気がしませんでした。

そこで一つ、夫に提案をしたのです。
我ながらよい提案だったと思います。

「20年住む家と思って探そう?」

端的に言って、これは気分の問題です。
家を買う多くのひとがそうであるように、我々もローンを組んでマンションを買いました。20年後も払い続けている可能性は高い。それはそうです。でも、分からないでしょう? 20年も経てば、人生に紆余曲折があるかもしれないし、ないかもしれない。こんどは海辺の田舎町に引っ越して、古民家をフルリノベーションしましょう、などという話になっているかもしれません。だから、とりあえず20年はここに住むぞ、というくらいの気持ちで家を選ぼう。わたしはそう言ったわけです。

夫はと言えば、分かったような分からないような顔で「うん、そうだな」と言っておりましたけれども、わたし個人としては、この考え方によってずいぶん気持ちが楽になり、ちょうどいい緊張感で物件を選ぶことができました。

そうして、我々は物件を決めました。
窓から桜の木と鉄塔が見える、東南角部屋のこの物件に。

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    内見は3月の終わりで、桜はまだつぼみ、さらには雨降りだったけれども、窓の向こうでこれが咲く春を想像して、とてもいい春だなと思いました。

決めてしまう夫婦

こんなふうに書くと、しばらくのあいだ物件を巡って、やっと決めたように思われるかもしれません。しかし、我々が物件探しをした日数は1日。内見した物件数は4件。内見一日目にして、契約申込みをしたのでした。

思えば、我々夫婦はいつもそうなのです。すぐに決めてしまう。迷えない。結婚式場も、いくつか予約をしたのに最初に見学にいったところが気に入り、その場で契約をして他をキャンセルしましたし、じつは以前大阪で新築分譲マンションを購入したのですが(いまは売却済み)、その時も、探し始めた二日後には契約申込みをしていました。いいと思うと「一応ほかも見てみるか」ができない。じぶんたちの直感を信じすぎているきらいがあります。しかし、今のところそれで大きな後悔をしたことはないので、よしとすることに、しましょう。

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もともと、物件探しのポイントはこんなふうに定めていました。

■日当たりと風通しがよい
■犬が飼える
■70平米以上

そして、予算との兼ね合いもあり範囲を広めにとって探していたのですが、先に遠いところから2件内見した結果、「まったく住む気にならない」「どうやら我々は自覚していた以上に今の立地が気に入っているらしい」という話になり、以下の条件が付け足されることとなりました。

■生活圏は今のまま変えたくない

すると、選択肢はぐっと狭まってしまい、そんな都合のいい物件あるかよ、と思っていたら、ありました。なので、そこに決めたのでした。

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正直にいうと、予算的には想定をかなりオーバーしている物件だったのですが、最後はやはり、窓からの景色がとても好ましかったというのが決め手となったように思います。それほど高層階ではないし、誰がどう見てもめちゃくちゃいい景色、というわけでは決してないのですが(桜はともかく、名もない鉄塔が目の前にどんと聳えるのは、嫌なひとは嫌かもしれないと思います)、個人的にとても、感じがよくて。「20年住むなら、絶対にここがいい」と、思いました。

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    このコラムのタイトルバナーにもなっている、鉄塔の見える窓。鉄塔の赤と白が、わたしは昔から好きなのです。

そんな感じで、担当営業マンも驚きの即決だったわけですが。

ちなみに、物件を案内してくれたのはnuリノベーションの営業担当の方だったのですが、nuリノベーションは、物件探しから、設計・施工・アフターサービスまで一括して請け負ってくれる(いわゆるワンストップ・ソリューション)会社で、だから営業マンも、リノベーションに詳しいわけです。内見のときも、ひとつひとつの物件に対して「ここからここは(壁を)壊せますが、このバスルームを動かすとかなり費用がかかります」とか「キッチンはこの梁よりこちらには動かせません」「この設備はグレードも高いですしそのまま使えそうですね」ときちんと説明をしてくれて、頼もしかったです。※これはPRではなく、個人の率直な感想です

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    まさかの即決だったので、次の約束がある中あわてて近くのカフェに入り契約申込みの説明をしてくれたnuの営業さん。

雑誌などを読むと、「リノベーションをするつもりで物件を買ったものの、構造的に壁を壊すことが出来ず間取りを変更できなかった」というおそろしい例もたくさんあるようなので、リノベーションを前提に物件探しをするときは、自分でめちゃくちゃ勉強するか、きちんと構造のことを理解しているひとと一緒に内見することをおすすめします。

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さて、プランの大枠も決まり、これからどんどん細かい仕様をつめていくターンに入ります。次回はまず、キッチンの話からしていこうと思います。キッチン。それはつまり、わたしの城の話です(うちの夫は料理ができない)。一回では書ききれないかもしれません。どうぞよろしくお願いします。

Q本かよ

qmoto_ap

俳優/コピーライター/デザイナー
舞台を中心に俳優として活動する傍ら、雑誌、広告でコピーやデザインの仕事を手がけている。
2017年に中古マンションを購入しリノベーション。夫と二人暮らし。曇天という名の犬もいる。