夫と妻と、犬が一匹。築37年の中古マンションを買って、リノベーションをする話です。
家族紹介
「電源がほしい。電源が必要」とわたしは言いましたけれども、言いながらなんだか大いなる何ものかに支配されているような心もとない気持ちにもなりました。あらゆるものからケーブルが伸び、充電が必要、コンセントが必要。これは怖いことのように思えます。しかし、そんなプリミティブな不安はさておき我々は明確にオーダーしました。「コンセントは惜しみなくたくさん作っておきましょう」と。
電気計画図
これが、我が家の電気計画図です。コンセントを、とにかく必要そうな場所にはどんどん付けました。床にもつけました。ダイニングテーブルでは「vol.06 扉のないキッチン収納の話」で書いたプリンセスを使うし、たこ焼き器だって使うし、テーブル周りの動線にケーブルが伸びるよりは、テーブル直下にコンセントがあったほうがいいだろうということでポップアップ式のコンセントをつけました。あとはパソコンや携帯の充電などたくさんの電子機器を使用するであろうワークスペースの床にも、同じ理由でコンセントをつけました。
「ポップアップ式のコンセントだと、市販のものはこういういかついのしかないんです」とフジコさんは言っていたけれども、わたしはこの事務所っぽいいかつさが案外すきです。
電気はいっきに消したい夫婦
うちの間取りは、キッチン、ダイニング、リビング、ワークスペース、という4つの空間がひとつの大きな部屋のようになっていて、照明計画もその区切りによって立てられているのですが、当初フジコさんからは、Aでキッチンとダイニング、Bでリビングとワークスペースの電気が制御できるという形を提案されました。図面上で見ても、それは極めて妥当なプランだと思います。ただ我々夫婦、なぜかここは完全に意見が一致したのですが、「いや、AでもBでも、キッチン、ダイニング、リビング、ワークスペース全部のスイッチをつけたい」と、言いました。
「スイッチが、けっこうたくさん並ぶことになりますよ?」
「大丈夫です。電気消すのに行ったり来たりしたくない……」
というわけで、要望通り、AにもBにも、キッチン、ダイニング、リビング、ワークスペース全部のスイッチをつけることとなりました。
4路スイッチの発注
そして、そうしてスイッチを欲張った結果、「このデザインだと、うちでは3路までしか用意できないんです」とフジコさんに言われました。どうせならば部屋に合うデザインのものをと思い、スチール製のプレートに白いスイッチのものを選んだのですが、NUさんでは3路までしか用意をしていないということで、自分たちで輸入建材のお店に発注することとなったわけです。
なったわけですが、数を数えるのが苦手なわたしは、結局のところ何がどこに何個必要なの? と頭が混乱してしまいパニックになりかけました。しかしそこはNUさん、発注するお店のURLと、↓のような丁寧な指示書を書いてくれました。「ここのお店で、これを発注してください」と。わたしはおつかいに出された小学生のような面持ちで、ひとつひとつ確認しながら画面をクリックし、無事にスイッチたちを注文することができました。
スイッチ完成
そうこうして、完成したスイッチがこちらです。
うん。スイッチが並ぶと、なんか操縦席みたいでかっこいい。悪くないなとわたしは思っております。何人かのひとは「どれが何のスイッチか分からないのでは?」と不安になったかもしれません。そのとおり。なかなか覚えられません。しかしよいのです。そのうち覚えるでしょう。それに、4路スイッチ、欲張ってよかったなと、日常のふとしたときに思います。便利!
コンセントも、「作りすぎたな」ということは全然なくて、前の家で阿呆ほど使っていた延長コードや複数口の電源タップがめちゃくちゃ余っていること以外は、惜しみなく作っておいてよかったなと思います。特に、収納の中にコンセントがあるのはいいです。洗面所まわりとか。充電が必要なものを充電した状態でしまって、さらに収納の扉を閉めてしまえるというのは、スッキリしていいものです。
ほんとうに、なんだかんだと使っているものですね、電気というのは。それは怖ろしいようにも思うけれども、明るくて、あたたかいことはやっぱりうれしいわけで。もう、この時代に生まれたのだから、当面のところは、覚悟をもって、電力の恩恵を受けていくしかないなと思っております。
さて、電気図が完成し、スイッチもできたところで。次回はこのスイッチで点灯/消灯する照明の話を書きます。照明選びは、むずかしい!