多くの人々を魅了してやまない古都・京都。ほんのわずかな旅行だけでは、そこに息づく人々の暮らしや、空気感を味わうのには足りないかもしれませんね。歴史あるまちの中心部に、まるでそこに暮らすように滞在できる宿があります。
この「おうち」で京都とつながる
2018年4月、平安神宮までほど近い岡崎に、築90年の町家を改装した宿がオープンしました。それが、『京の温所 岡崎』です。下着メーカーの株式会社ワコールが立ち上げました。
京都の町家は、奥に細長い作りになっているのが特徴。格子窓や通り土間、坪庭を配し、夏は暑く冬は寒い京都で快適に過ごせる知恵がぎゅっと詰まっています。このような家屋は後世にも残していきたいものですが、年々手入れをする人が減り、空家となってしまうことが少なくありません。そこで、このプロジェクトでは、町家を単にホテルや旅館としてではなく、「おうち」としてリノベーションし、京都に暮らすように過ごしてもらうための宿泊施設としてスタートしました。
またこの施設では、泊まるという感覚ではなく、暮らすように過ごすせるようになっています。コンパクトながらもみんなでわいわい集まって料理ができるような作りのダイニングキッチンで、みんなで食材を持ち寄って料理をしてテーブルを囲むのもいいですね。“京の台所”と呼ばれる錦市場でごはんを買うのもよし、有名な和菓子やさんで、美味しい豆大福を買うのもよし。その場所に住んでいるかのような毎日が楽しめそうです。
2018年8月には、二条城のほど近くに『京の温所 釜座二条』もオープンしました。こちらも同じく、推定築150年の町家をリノベーション。ファッションブランド『minä perhonen(ミナペルホネン)』のデザイナー・皆川明氏がディレクションを、建築家の中村好文氏が設計を担当しています。樹齢100年の古木が鎮座した庭に「ライブラリー」があり、ブックディレクターの幅允孝氏が選書した本たちをゆっくり楽しめます。京都をより広く深く印象付けるきっかけになるのではないでしょうか。
旅という感覚を忘れて、京都に暮らすように滞在できる、2つの京の温所。よくある観光ではなく、京都というまちを、京都の人々の生活をもう少し感じてみたい。そんなふうに思ったら、ゆっくりと「京都のおうち」で過ごしてみてはいかがでしょうか。
京の温所
ひとつの旅が暮らしの深呼吸のように感じられるひととき
いつもの日常を京都という文化や環境のなかで過ごすことで、日常の安堵感と旅の開放感や特別な体験ができる宿。『京の温所(おんどころ)』に滞在する人たちが集い、心安らぐあたたかな時間を共有することで生まれるもうひとつの日常。
【京の温所 岡崎#1】
所在地:京都市左京区岡崎円勝寺町91-85
広さ:2階建て90平米
定員:1~6名
(※Google Map 記載店舗)
【京の温所 釜座二条#2】
所在地:京都市中京区釜座通二条下る上松屋町690-2
広さ:2階建て82平米
定員:1~4名
公式サイト:http://www.kyo-ondokoro.kyoto/