夫と妻と、犬が一匹。築37年の中古マンションを買って、リノベーションをする話です。
家族紹介
この胸の高鳴り、動悸、息切れ
たいせつな日にいつも熱を出す人間がいる。わたしである。
初めてのプラン打ち合わせを終えてからというもの、わたしは本当にうきうきしていました。伝えるだけ伝えた要望がどんなふうに形になって出てくるのか、期待に沿うものであれ外れたものであれ、いよいよ具体的なプランニングが始まるのだと考えるだけでうれしくて、いてもたってもいられないような心持ちでありました。
暇さえあればインテリアショップに寄り道し、興味はあったが行ったことのなかった「東京蚤の市」にもついに足を運びました。まだプランが決まっていないのだから何をどこに飾るかも分からないのに、大きめの額を二つ揃いで買ったりして、それはもう浮かれた気持ちでファーストプランがあがるのを待っていたわけです。
そして明朝10時に打ち合わせを控えた前夜の体温、39.7度。死ぬかと思いました。
インフルエンザの検査を受けたら陰性だったのでとりあえず安心し、(下がれ下がれ下がれ……!)と願いながら眠り、当日の朝。38.4度。下がりました。とは言え高熱。頭も痛いし足元はふらふら。「どうする?」と心配する夫に、「大丈夫、行ける」と言ったり「やっぱり無理……任せた……」と言ったりうだうだやっておりましたけれども。
広告業界ではたらく我々、大まかな方針を決定するファーストプランの打ち合わせが、ものを作るうえでいかに大切かを重々承知しておりましたので、夫に抱えられるようにしてわたしもタクシーに乗り込み、どうにか打ち合わせの席に着いたのでした。
恥ずかしながら、普段は体調がわるいとすぐに心が折れるタイプの人間なのですが、近年稀にみる踏ん張りをみせた朝でした。家づくりは、人生の一大事。
モルタル好き宣言
さて。前回の打ち合わせでは、我々が出した要望(たくさんの付箋)のほかに、打ち合わせから導き出された大きなポイントがありました。
それは、「この夫婦はモルタルが好き」ということです。いかにも、な感じが少々恥ずかしいのですが、好きな雑誌の切り抜きや施工事例の写真を並べれば並べるほど、「うん……つまりモルタルが好きなんでしょうね」となり、認めざるを得ませんでした。インダストリアルとか、ガレージ風とか、ブルックリンスタイルとか、男前インテリアとか、そんなカテゴライズをされるのは何だか癪なのですが。そんな自意識は棄て去って。大きな声で言いましょう。わたしは(そして夫も)、モルタルが、好きだ。
好きだ!
BEFOREのプラン
まず、マンション購入時の間取りを紹介します。
こういう4LDKでした。なぜこの部屋に決めたのかといった話も追々していこうと思いますが、とりあえず今のところ、こういう部屋でございました、というご紹介まで。
3つのプラン
ということを踏まえ、フジコさんが出してくれたプランは以下のようなものです。
ちなみにこの平面図はフジコさんの提案プランをわたしが雑に再現したもので、本当はもっとちゃんとしているしかっこいいパースとかも見せてもらいました。読者のみなさまにおかれましては、どうか雰囲気で汲んでいただきたい。恐縮です。
もしかしたら普通は「どれも素敵ですね」などと前置きするものかもしれないけれども、我々夫婦の所感は「Cかな」「Cやな!」と二人そろって率直なものでありました。そして確認される、「つまりモルタルが好きなんですね……笑」。
(モルタルモルタル言うておりますけれども、床に関しては本物のモルタル部分を剥き出しにすることは構造上できないので、モールテックスという素材で仕上げるということでした。モールテックスはとっても便利!)【MORTEX®】https://bealinternational.com/ja/brands/mortex/
全体の所感をざっくりと述べるならば。
A案は、窓際がモルタル床になっているという縁側仕様が素敵だけれども、生活スペース全体が回遊式になる間取りは来客時のことを思うとちょっと微妙かなという印象。B案に関しては、せっかくの広い間口を縦に割ってしまうのが勿体無いし、モルタル部分も物足りないので却下。(おそらくB案は、モールテックスがわりと高価なので、リーズナブルラインとして作ってくれたのだと思う)
というところでありました。
というわけで、大きな方向性としてはC案に決定! ただし、
・来客時のことを考えるとリビングとベッドスペースは分けたい
(夫が寝ているのに、わたしが泊まりにきた友人と夜中までべらべら喋ることがある)
・クローゼットの収納量が心配
(減らしても減らしても服が増えるタイプの人間がひとりいる)
という課題を共有しつつ、これから具体的な修正を重ねていくことになりました。
フジコ先生はもちろん、A案にもB案にもC案にも、我々のこまかい要望をきちんと反映してくれているわけなのですが、ひとつひとつ拾って解説をしていくと永遠にコラムが竣工できなくなってしまうので、ざくざく気ままに話を進めていこうと思います。もしも何か、マンションリノベーションについてこのポイントが気になるぞというようなことでもあれば、Instagramにコメントなどを頂けましたら、可能なかぎり話を展開させていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
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さてさて。プランの修正も気になるところかと思いますが、次回はすこし時間を巻き戻しまして。「いつかいつかと思っていたマンションリノベーションに、ついに踏み切ったキッカケ」の話を書きます。いつかいつかと思っているひと全員の、背中をどうか押せますように。