夫と妻と、犬が一匹。築37年の中古マンションを買って、リノベーションをする話です。
家族紹介
多くのものがデジタル化されるこの時代に、物質を使ってものが立体的に作られていく様は尊いなと思います。
初回打ち合わせから、およそ10回程度のプランミーティングを重ねて、いよいよリノベーションの工事が始まりました。夏真っ盛り、8月のことです。
近隣へのご挨拶
着工にあたり、近隣の部屋のみなさまにご挨拶に伺いました。いかんせん、我々の購入した中古マンションは「新築そっくりさん」で全面リノベーション済み物件であったので、それはつまり、そこそこ近い時期にそこそこ大きな工事が入っていたということです。それをまた、全面壊して作り直そうというわけですから、察するに、近隣の方々にとっては「またかよ」と感じるに違いないわけで、それはたいへん心苦しいことでありました。
「工事 挨拶 粗品」などでグーグル検索をいたしますと、世界の集合知がいろいろと教えてくれるので、わたしは従順にそのやり方に従い「向こう三軒両隣」にご挨拶にいくことにしました。粗品を何にするかも相当悩みましたが、ゴミ袋(もらっても邪魔にならず使用頻度が高い)と、休足シート(必需品ではないがたまにあると嬉しい)のセットにしました。
20年住む家、と思っているので、失礼ながら「あからさまに変なひとがいたらどうしよう」と、若干の不安もありつつご挨拶に回りましたが、どこのご家族もにこやかに対応してくださり、ひとまずホッとしたものです。
初めての現場打ち合わせ
お盆が明けた頃、はじめての現場打ち合わせがありました。ちょうど解体作業が終わり、解体してみないと確認できなかった部屋の構造や、リノベーションするにあたり問題となる部分などを確認する打ち合わせです。基本的には、躯体をあらわした天井も壁もそこそこきれいな状態だったのですが、解体して初めて分かった問題点もいくつかありました。
天井が傾いている
これはこれ以上に説明のしようがないのですが、天井が、傾いていました。古いマンションにはあることらしいのですが、梁の方向に数センチ程度の天井の歪みがあったのです。注意して見ると目視でわかるくらいの傾きだったので、これは、けっこうイヤでした。イヤでしたけれども、仕方のないことであるし、天井は躯体剥き出しにしたいという希望もつよかったので、傾いている天井はそのままいくことにしました。
換気ダクトが梁を貫通してない
物件見学のとき、nuさんから「換気扇のダクトが梁を抜けているかどうかで、キッチンを移動できるかどうかが変わってきます」と教えてもらっていましたが、我々の物件に関しては、2本ある梁のうち1本はダクトを通す穴があいているのではないか、というのが営業さんの読みでした。もちろん「実際に解体してみないと分からないですが」と言われていて、実際に解体してみると、穴はあいておらず、梁の下をダクトを曲げて通すしかないという状況でした。換気ダクトを曲げると、曲げたところに吸い込んだ油がたまってしまう可能性があってあまりよくないらしいのですが、仕方がないのでそのやり方にして、その代わり、油がたまったときにメンテナンスできるように、メンテナンス用の覗き窓を壁につけてもらいました。
感動貯金
そんな感じで、いくつかの落胆ポイントがあった初回の現場打ち合わせでしたが、それ以上に、もとの間取りがすべて壊され、ほぼ(水回りを除いて)スケルトン状態となった部屋をみて、わたしは感動したのでありました。プランミーティングで飽きるほど見た間取りが、ここに立ち上がるのかと思うと胸がいっぱいになって、ワクワクしたのをよく覚えています。きっと住んだら住んだで生活に慣れていくだろうし、もっとこうすればああすればと後悔も芽生えるだろうけれども、こういうワクワクした気持ちを忘れないようにしよう、と思いました。
真夏に始まったリノベーション工事。どうか事故なく終えますようにと祈りながら、現場をあとにしたのでした。