vol.04 ペンケースを作ろう!(意外に大変)

こんにちは! ねおみのるです。すっかり寒くなりました。

日々まだイケル、まだ耐えれると思って生きていましたがもう秋の気持ちで過ごすのはさすがにきついですね。押し入れから出したフリースがもう快適すぎて快適すぎて。風呂上がりとかたまに裸にフリースだけという服装になっている時が皆さんもありますよね(ジップを上げたらばれないから)

さてさて、そんなセクシーな話はともかく今回はファスナーを使ったペンケースを作ってみたいと思います。文房具ってね。なんか好きなんですよ。ちょっと変わったペンとかすぐ買っちゃったりしません?

それらをスマートに? 収める革のペンケース。これを作ってみます。

では今回も先に完成品を見せてしまいましょう。

はい、ドン。

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うん。自分で言うのもなんですが、なかなかに良い感じではないでしょうか。

ペンケース。通常のよくある形の物を作ってもあまり面白くないな〜と思い、悩んだ末に今回は六角形にしてみました。しかしこの六角形にしたことが後で思わぬ苦労を生むことに……。

ではさっそく作っていきましょう!

イメージたしなめ@ド○ール

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まず色々と思いつくままざっくばらんに描いていきます。サイドをどうするか決めかねた跡がかいまみれますね。

オシャレなカフェ(ドトー○)でイメージをたしなめてますよ。ああ、なんて都会的なんでしょう。
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そしてバラバラなイメージを一つにまとめます。具体的に寸法も入れました。

パーツ的にはそんなに多くないですね。この時点では簡単に作れると思っていました。この時点では。

図面を書く

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さて、方眼紙で型紙を作ります。コンパスを久しぶりに触りました。円描くの楽しい。

そういえば六角形ってどうやって書くんだっけ? と、小学校か中学校で習ったことをすっかり忘れていたので思い出すのに一苦労。「正六角形を書け」って言われてすぐ描けます?

いざ、実制作のスタートです!

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型紙を革へ写していきます。これは前回でも出てきた銀ペンを使います。

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こんな感じになりました。それでは書いた線に沿って切っていきましょう。
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うう、円を丸く切るのが難しくて泣きそうです。コツは革をスルスルと左手で回していくとやりやすいようです。
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切り終えました。今回はこちらのパーツを組み合わせてペンケースを作ります。
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まず行ったのはサイドにくる六角形の外側を漉きました。

革を薄くする事を「漉く」と言います。この六角形の外側は折り曲げるので薄くして曲げやすくしとこうと思ったからです。

漉くには専用の機械を使うなど色々なやり方がありますが、今回は革包丁を寝かせてシュッシュッと削るやり方をします。カンナで削るようなイメージですね。シュッシュッシュッ。

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そして曲げる部分を考慮して切り込みを入れます。雪の結晶みたいですね(季節を意識してのロマンチック発言です)

そしてこの外側を折り曲げます。この厚みと大きさならそのまま折り曲げてもなんとかなりそうですが、ここである事をします。

革を水で濡らすのです。

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濡れている状態で折りまげます。

革は性質的に濡れている時は伸縮しやすいのです。濡れた状態で型をつけておくと乾いた時にその型が残るということです。

濡らし方は基本的には濡らした布などを優しくあて、まんべんなく革を湿らしていくのが良いと思います。

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実際に折り曲げると切り込みの幅が足りなくて左右が喧嘩していたので調整します。

長いボディとなる革もしっかり濡らして六角形になるよう折り目を付けます。

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サイドの形に合わせて端からしっかりと折り目をつけていきます。
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こんなイメージです。このボディはなりゆきで長く寸法を取っていたので、ファスナーの幅も考慮しサイズを合わせて切ります。
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折り曲げが終わりました。まだ濡れているのでしっかり乾かしましょう。
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乾くとこのようにきっちりと六角形の型がついています。
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あっ、今のうちにロゴのタグを縫い付けておきましょうか。
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ふむふむ。サイドの六角形もしっかり折り曲げができています。

次の行程はファスナーの取り付けです。しかしその前にやっておくことが。
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ファスナーをとりつける面のコバとボディの床面(裏側)を綺麗に処理しておきます。

ファスナーをつけた後ではやりにくいですからね。

ここで使うのは……
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はい。出ましたトコノール。相変わらずいい名前ですね。
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トコノールを指に取り、コバに塗りつけてから端切れの革などで磨きます。シュッシュッ。
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ボディの床面もトコノールで磨いておきます。シュッシュッシュッ。

サイドの六角形も接着面以外は鞣しておきます。
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で、乾かします。今回はなんか乾き待ちが多いですね。暇だな〜。コンビニに行って雪苺娘でも買ってきましょうか。求肥大好き!

次はファスナーを取り付けます。
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はい。ファスナーです。革屋さんやハンズ、手芸屋さんなどでこのように単体で売っています。色や種類も様々な物があります。
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端っこは邪魔になるのでボンドを付けて折り曲げておきます。
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こうなりました。
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今回は丸い革をしっぽにとりつけるので、先が尖るイメージでボンド接着しておきます。

あっそうそう実は僕、けっこう昔は尖っていたのですよ。もう、触る物みな傷つけてね……。
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ボディのファスナーをつける部分にグルーバーでラインを入れます。
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そしてラインに沿って菱目打ちで穴をあけていきます。ファスナーには穴をあける必要はないのでくっつける前のこの時点であけておきます。
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穴があいた状態です。
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ファスナーですが縫い方の流れが変わっている部分を基準に取り付けます。上の画像で布の目が変わっているのが分かるでしょうか? そのラインを基準にして下部分を接着します。
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ファスナーにボンドを塗り先ほど説明したラインに沿ってボディに貼付けます。
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そして縫っていきます。
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ファスナーの縫い付けが終わりました。これも負荷がかかりやすい箇所は二重に縫っています。写真で言うと両端の部分は二重にしています。
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続いてしっぽを丸く切り抜いた革で挟みます。これもボンドでまずは貼り合わせます。
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僕の切り方がヘタなせいもあり、切り抜いた円がデコボコしています。ここは事前に紙ヤスリできれいにしておきましょう。
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そして円に沿ってグルーバーで丸くラインを描き穴をあけます。
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しっかり縫っていきます。
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こうなります。
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次にボタンを取り付けるため円の中心に大きめの穴をあけます。
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穴があいた状態です。
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今回も上の写真のジャンパーホックを使います。

あっ、円に取り付ける写真を取り忘れていました。取り付けた事にしといてください。

……さて、ここで、はたと手が止まってしまいました。ここからの行程の順番が分からなくなったのです。

サイドの六角形を取り付けるのが先か、ボディをファスナーに取り付けるのが先か…。というかこれ、サイドの穴ってどうやってあければいいんだ……?

順番を間違えると物理的に穴を空けることができない、または縫えない箇所が出てきたりするので間違えられません。

う〜ん、う〜んとあれこれ想定して考えます。あれぇ、これけっこう簡単にできるはずだったのに……。

・・・取り急ぎサイドにフックの受けを取り付けておくか……。
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コンコンと専用に打ち棒で取り付けます。

さてさて、悩んでいてもしょうがないのでその間に行程を決めました。

まず、サイドの縫い付け部分に穴だけ先に空けておく→ボディのファスナーが付いていない側を取り付ける→サイドを縫い付ける(穴はあいているので縫うだけのはず)→完成!

よし、これでいきましょう。
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サイドは正六角形と言えどボディとの多少のずれが生じているのでくっつける基準の辺に印をつけておくことにします。
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まずはボディの方に均等に穴をあける。
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コンコンと専用に打ち棒で取り付けます。

んんっ! しかしここからが悩みの壁!! サイドの折り曲げた部分にどうやって穴をあけていけばいいのでしょうか。

六角形をすべてくっつけてしまうと物理的に菱目打ちで穴があけられなくなってしまうのです。
うわー、どうしよう。また手が止まります。

・・・壁に向かって逆立ちをした結果、解決策を思いつきました。
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一辺を両面テープでくっつけてその辺に穴をあける→次に隣の辺もくっつける。その前に穴をあけた辺は剥がす。穴をあける→六辺繰り返し。貼って穴をあけて剥がすという繰り返しを行うわけです。

こういう時、細い両面テープは仮止めに最適なのです。
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実際にやっていきます……。
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これ……けっこう気の遠くなる作業でした……。でもなんとかサイドにも無事に穴があきましたよ。

では穴のあいたサイドは一旦置いといて、ボディの反対側にファスナーを取り付けていきます。
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これもボンドでくっつけてから縫っていきます。
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この時ファスナーは全開におっぴろげて縫っていきましょう。
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ファスナーの端っこは縫いにくいですがなんとか頑張ってください。
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ファスナーが取り付けれました。

現在筒状になっているので、後はサイドの取り付けだけですね。
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ここにサイドを取り付けます。
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折り曲げた接着部分にボンドを塗り……
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はめ込んで貼り合わせます。おそらくずれると思うのでファスナーを全開にして反対側から押したりしてピッタリ合うよう調整します。
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既に穴はあいているのであとは縫っていくだけです。
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取り付け完了。
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ここのコバが荒れているので紙ヤスリで整えます。
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なんて地味な写真なんでしょうか。

紙ヤスリをかけるときはゴミ箱にビニール袋をかけてその上でヤスリをかけ、削った粉がそのままゴミ箱に落ちるようにしているのです。
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ヤスリをかけたらトコノールを塗り、磨いていきます。シュッシュッ。

円の周りも同様に磨きましょう。
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こうなりました。しかしこれ多分上手い人だともっと綺麗にできるんだろうな〜と少しへこみました。
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反対側も取り付けます。
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最近は、缶に入った接着剤を使っています。
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くっつく部分に縫って……
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貼り合わせて縫っていきます。
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取り付け完了。

こちらの面も反対側同様、ヤスリで整え、トコノールで磨いて綺麗にします。

今回、コバに色を塗って着色しようかと迷っていました。というのもこれは僕の技術の問題ですが、着色はよほどうまくやらないと逆に不自然になるという印象がありまして。

そんなことを考えていた時、棚の奥に、むかし買った茶色のトコノールを見つけたので試してみます(通常のトコノールは無色を使っています)
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あっ、蓋にほこりが……。
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ほうほう。
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ちょっと色がついていい感じ? になったかな。なったような気がする。なりにけり。

さて、しかしまだ完成ではありません。最後の仕上げをします。
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細く長く切った革を用意して……
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ファスナーの取っ手に通して結びます。

飾り的な意味合いが強いですが、これがあることにより全体のバランスも取れるような気がします。
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やっと完成です!

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ボタン側はこんな感じに。
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ボタンにカメラを構えた自分が写っていますね。ボタンを覗く時、ボタンもまたお前を見ているのだ……。

さて、今回のペンケース。六角形にしたことで作る前に思っていたよりずっと苦労してしまいました。

しかしその分味わい深い物が出来たのではないかとも思っています。

何回も作っていけば精度も上がってもっと綺麗に作れるのではないでしょうか。

では今回はこの辺で! また来月に!!

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ねおみのる

profileneo

普段は普通のサラリーマン。
あるとき独学でレザークラフトを始め見事にはまる。

以来、頼まれた物など失敗や試行錯誤を繰り返し作り続けている。

今欲しい物はリアルに革漉き機とミシンだが、部屋に置く場所が多分ない。