「錫器」って何? っていうか、何て読むの!? 見出しを読んでそうつぶやいた人は、ちょっといい感じの小料理屋を思い浮かべてください。大皿料理がずらりと並んだカウンター、その奥でにっこり微笑む和服姿の女将さん、そして微かに湯気を上げる湯かんの中には……。そう、燗酒をつけている、その銀色の器こそ「錫器(すずき)」。酒呑みのあこがれというべき逸品です。
手にとり、口をつけると、300年以上の伝統と矜持が立ちのぼる。
「錫器」が日本に伝わったのは、今から約1300年も前のこと。金や銀に並ぶ貴重品として尊ばれ、限られた特権階級によって神事や宮中行事などに用いられたのだとか。東大寺・正倉院には、そのころに使用されていた錫製の薬壷や水瓶などが数点保存されています。
暮らしの「器」として一般庶民にも広く普及したのは、それから幾つもの世紀を経た江戸時代。17世紀後半には流通の便がいい大阪で盛んに製造が行われるようになり、特産品として全国に知られるように。最盛期といわれる昭和時代前半には、大阪全体で300名を超える職人が腕を振るったそうです。
「大阪浪華錫器」の製造元である大阪錫器株式会社は、江戸時代後期にルーツをもつ老舗職人集団。代表である「現代の名工」こと今井達昌氏と、国認定の5名の伝統工芸士らにより、300年以上つづく伝統の技術と知恵を受け継ぐモノづくりが行われています。
手にとり、口をつけ、金属でありながらどこか柔らかな独特の風合いを感じれば、「錫器」が歩んできた長い道のりを感じられるはずです。
日本酒はまろやかに。ビールの泡は細やかに。「錫器」のおいしい特長たち。
なぜ「錫器」は、古くから酒好きに愛され続けてきたのか? その答えの一つが、「すぐ温まり、すぐ冷える」ところ。陶器に比べて約1.8倍の速さで熱を移動させ、約50倍の速さで器全体に熱を伝えるという性質があるため、燗や冷酒の器として最適なんです。また、理由にはさまざまな説がありますが、日本酒の味をまろやかにする効果もあるといわれています。一度でも「錫器」でお酒を飲んだことがあるなら、きっと、うなづけるんじゃないでしょうか。
さらに、日本酒だけでなくビールのタンブラーとしてもうってつけ。内側についた凸凹が細やかな泡を生み出し、なんともクリーミーな味わいに。最高の「プハーッ!」を味わえること、間違いなしです。
錫をぜいたくにたっぷりと使うことにより厚みがあってやさしい口当たりを実現するなど、「大阪浪華錫器」にはほかにも特長がまだまだたくさん。伝統ある酒器で、とっておきの美酒を味わってみませんか?
大阪浪華錫器
肉厚に鋳造した錫を削り出してつくり上げた密封性の高い茶壺など、酒器以外にもさまざまなラインナップがあります。くわしくは公式ホームページをチェック!
大阪錫器株式会社
TEL:06-6628-6731
http://www.osakasuzuki.co.jp/
http://www.osakasuzuki.co.jp/syouhin_top.html