vol.03 もっともサスペンスなのは……!?

こんにちは。リノスタ・ライターの雨森です。最近、とまりません。ずっととまらないんです。

私、都内の普通の賃貸住まいです。部屋、当然せまいです。でもね、好きなんです。おしゃれな部屋が。カッコいいインテリアが。それを見るために、いつもタンブラー(SNSの一種)を観ているんです。

だからこそ、とまらないんです。

そう、“妄想リノベーション”がとまらない……。

1日の大半は……

寒さが増してきて、風邪もひきやすい季節。帰宅後には、かならず手を洗って、うがいをしましょう。特に社会人の皆さんにとって体調管理は、大切な仕事のひとつです。

家に帰ってきたら、おトイレも、水を飲むのも我慢して、まずは洗面所に行きましょう。

ん? でも洗面所に行ってからおトイレにいくと、もう1回、洗面所で手を洗わないといけないからちょっと面倒だな。
あ、しかもその後にお水を飲むと、またおトイレに行きたくなって、さらにその後、もう1回、洗面所で手を洗わないと行けないぞ。

ってことは、ここまでをまとめると……

帰宅

洗面所にて手洗い・うがい

おトイレ

洗面所にて手洗い

お水を飲む

おトイレ

洗面所にて手洗い

それ以外にも、歯磨きをしたり、顔を洗ったり、お化粧をしたり、髪をセットしたり……。

そうです。1日は洗面所で始まり、洗面所に終わるのです。
ある企業の調査によると、一般成人は、平均して24時間のうち、約65%にあたる15時間半を洗面所の前で過ごしているようです。

はい、ウソです。

でも、洗面所が生活において重要な場所であることに疑いの余地はなし! ということで、今日は洗面所特集。前回のキッチンと少しカブっている感はありますが、まあ洗面所は水をカブるところなので、いいでしょう(←別にうまくない)

いろいろなのが、ありますよ!

キッチンにいろいろなバリエーションがあることは、前回のこのコラムでも分かりましたが、では洗面所はどうでしょう。

「そんなにいろいろな種類ってあるの?」「オシャレなのとかってあるの?」なんて考える人もいるかもしれません。

ノンノンノン。あるんですよ、コレが。オシャレなの。例えば、ほら。

ね? きちんとデザインされた感がありますよね。そもそも日本の賃貸じゃ、洗面台の天板にムク材が使われることすらないなぁ。照明もカッコいいし。

そして何より、ポスターですよ。洗面所にポスター。そんなの、聞いたことない!
ん? なになに?「WHATEVER YOU THINK THINK THE OPPOSITE」? ちょっと調べてみると『正反対に考えろ』という意味だそうです。洗面所で正反対に考えるってどういうこと?? アレかな? 例えば整髪料を足元につけたり? もしくは化粧水を後頭部につけたり!?

そんなもん、家族に見せられへんわ! 遅すぎる反抗期かって思われるわ!!

同じ木を使ったものでも、ちょっとニュアンスの違うこんなのもあります。

左右の鎖で吊っている感じ、どうですか? 下に排水口が付いていることを考えると、別に洗面台自体が折りたためるわけではなさそうなので、完全に装飾なんでしょうけど。

下にあるトトロ3兄弟のようなツボも、雰囲気があっていいですね。

すこしインダストリアルっぽい、こんな感じはどうですか? これも日本の賃貸では珍しい、深い色味が美しいです。

下の棚は、隠す収納と見せる収納の両方を叶えながら、きちんと収納量も確保していて機能的にグッド。まるで排水管のような照明も、レトロな雰囲気でオシャレですね。

逆にコチラは、清潔な印象を与える白でまとめています。洗面所では定番の色味ですね。下についているタオルをかけるためのコの字型のバーがデザインのアクセントになっていていい感じ!

アレ? でもこの写真、正面から撮っているのに、なぜ鏡にカメラマンが写ってないんだ!?

さ、貞子!?!? 貞子なの?? イヤーーーーー!!!!!!!

プロダクトとしての美しさ

ひとくくりに「洗面所」と言っても、たくさんの要素があります。

蛇口、シンク、洗面台、収納……と、たくさんのメンバーが、フォーメーションを組むことによって、「チーム洗面所」は構成されているわけですね。

その1つ1つが、そのままアートのような美しさを誇るものもあります。

美しい! お水とお湯なのか、水とハンドソープなのか、バーのような形状をした蛇口が2つあるだけ。

シンプルながら、おそろしいまでにデザインとして完成されていますね。

実際に使ってみたい!!

これはなんと言っても縦に伸びる蛇口と、横方向に伸縮する鏡が特徴的ですね。

鏡を横向けに支えている「X」を模した部分。どこかで見たことがあるなと思ったら、アレですね。マジックハンド。遠くにあるお菓子とかをつかむことができるオモチャのあれ。子どものころ、欲しかったなぁ。

大人になって、また同じような仕組みのものに惹かれるなんて、あの頃に掴まれたのは、オモチャやお菓子じゃなくて、「心」だったんですね(←これも別にうまくない)

こちらは、どこか和のテイストを感じさせるシンク部分と、L字型の蛇口が絶妙なマッチングを見せるデザイン。
京都の料亭にでもいるような、趣が感じられます。

滴っている水をよく見てください。水滴が丸い状態で連なって出ているのが分かりますでしょうか。
ここは、打たれましょう。頭を、そして体をあの僅かなスペースに突っ込んでいきましょう。

京都でやれば外国人から「ジャパニーズ、クレイジーだね!」と称賛を受けられるんじゃない!?

これは女性らしさと男性らしさを兼ね揃えたデザインとでもいいましょうか。鏡を支えるための黒い枠の部分が、曲線を描きながら物置になっている部分がデザインとして秀逸です。

そして、何を思ったか、洗面所にキャンドルが!! それ、いる? オシャレを履き違えてない!?

さらに右にあるのは、和菓子かな? だとしたら、もう、めちゃめちゃ!! 洗面所とは、何をする場所なのか!!(←和菓子ではない)

この項の最後はコレ。もうかっこよすぎてチビッちゃいそう。

水受けを支えているキューブのカタチをした部分が、浮いているように見えて、実は固定されていると同時に、中で水が流れていくように、穴が開いているんでしょうね。
あまりのクリエティブな発想に、感嘆です。まるでだまし絵! 床、ビッチャビチャになりそうだけど。

歯ブラシや化粧品などを置くスペースなどがないので、一般の家庭には難しそうですね。

ナチュラルで行く? スタイリッシュに行く?

次は、前回のキッチンと同じく、2つの種類に分けながら見ていきましょう。

あなたが好きなのは、木や緑をあしらったナチュラルな感じ? それとも都会的な洗練したイメージを演出するスタイリッシュスタイル??

こちらはナチュラル派の洗面所。

壁を走る木のラインは、何のためのものか分かりませんが、コンクリートと良いマッチングですね。ナチュラルな印象を際立たせています。

鏡に映っているのは、ボクシングのパンチングボールかな? もしくは、くす玉?? 洗面所はナチュラルなのに、生活は案外、荒々しい感じだ!!

ちなみにこの写真、またまた貞子ですね……。

次はブラックで仕上げられたスタイリッシュスタイル。すこし分かりにくいですが、手前にはシャワールームがあるのかな? 海外では、洗面所とバスルーム・シャワールームが併設されているの、よくありますよね。

ただただクール。この鏡では、ふざけた顔、禁止ですね。ずっと決め顔で! 1日中ですよ!!

次に、ナチュラル2枚目。洗面所に観葉植物。この発想がなかなか難しいんですよね。

すこし古ぼけた木が、さらに風合いを強めて、雰囲気がよくなっています。

そして、もう説明も省きますが、貞子です。

こちら、言わずもがなスタイリッシュスタイル。硬質で男性的なデザイン、かっこいいですね。

コンクリートでまとめていると思わせて、下の収納は木っていう遊び心もお気に入りなところ。

これはさっきのものと似ていますね。奥にはお風呂があるのかな?

窓から入る自然光が、ナチュラル加減をさらに強めています。

こちらは初めて出てくる、洗濯機一体型の洗面所です。

薄い色味の壁面と、収納面の深いカラー。さらに洗濯機とも色を合わせるっていう作戦は、かなり効果的じゃないでしょうか。

そして、ちょっとしたメッセージボードまで。「WAKE THE FUCK UP」なんて、意味はよく分からないけど、汚い言葉なんだろうなぁ。「起きやがれ、この○○野郎!」的な。

置くだけ簡単。オシャレな○○

最後は、すこし趣向を変えてみましょう。みなさん、「Aesop(イソップ)」を知っていますか?

そうです。『アリとキリギリス』や『北風と太陽』などで有名な……ではなく、オーストラリアで生まれた化粧品メーカーです。いまや日本でも大人気ですね。

これ、『とりあえず置いておけば、オシャレやろ』アイテムの代名詞なんです。他で言うと、イームズのシェルチェアや、雑誌『KINFOLK』などがあります。

はい、右に置いてあるのがイソップです。

左の壁にある円形のティッシュディスペンサーや、可動式(だと思う)の鏡もインパクトは強いのですが、やはり、イソップは目を引きますね。

パッケージのデザインがいいからなぁ。実際、品質もすごくいいですけどね。

こちらはナチュラルスタイルに、イソップ。奥に2つ置いてありますね。

もう、何なんだよ−。なんで、オシャレなところには必ずイソップがあるんだよー。ちくしょー!!

これまた左上にイソップ。おそらくですが、蛇口のとなりにチラっと見えているのも、イソップのプロダクトだと思います。

え? 置くだけで空間をオシャレに演出できるなら、置いたらいいじゃないって?

もう置いてるよ! イソップ、調子のって買ってるよ!! でも、賃貸のマイホームじゃ、そもそもダメなんだよ!! もうこうなったら、童話の方のイソップを並べてやる!!!!!

はい、では今日のまとめです。

いや~、オシャレでカッコいい洗面所、たくさんありましたねー。こんなデザイン的にすぐれていたら、毎朝、起きた瞬間、気持ちよく過ごせるでしょうね。

では、1番お気に入りの洗面所を発表しておきましょうか。

今回のMVS(Most Valuable Senmenjo)は……

(ドロドロドロ……)

ドンッ! 貞子さんに決定!!!!

え、MVSって「Most Valuable Suspense」の略じゃなかったんですか!?

失礼しました。。。

(しかし、妄想はつづいていく)

雨森武志

profile_amenomori

1980年大阪生まれ。
ウェブサイトや各種広告におけるディレクター・プランナー・ライター。

2002年にアーティストユニット「weiv」を設立し、編集長としてウェブマガジン「conscious」を発行。その後クラブミュージックのポータルサイト「saround」を開設。フリーペーパー「saround magazine」の編集長を歴任。

2006年より制作会社へ勤務。2010年に独立し、上京。同時に、処女作「愛!愛ありゃこそ!イーアー!!」の上梓。さらにウェブマガジン「conscious」を再始動する。

2016年に、フリーランスクリエイティブ集団「チームコンシャス」を結成。

学校法人ESP学園WEBクリエイター科講師。