「日本の伝統工芸」といっても、その数は多く、すべてを知ることのは簡単なことではありません。この小さな国土の中には美しいものがたくさんあるはずなのに、ちょっと残念なことですね。受け継がれてきた伝統を守る職人技を知り、触れることで失ってはならない日本の文化が見えてくるかもしれません。
普遍的に美しいかたちの追求
山中温泉で明治41年に創業された『我戸幹男商店』。自然光の差し込むシンプルモダンな店内には、天然の木々が育んできた木目を使って表現された『山中漆器』が、美しく佇んでいます。
木地師の意思を受け継ぎ、高い技術を活かした実用性のある作品として生まれています。影と光をまとうと一層シルエットが際立ち、優しいフォルムの中に精巧ささえもが映し出されるようです。
山中漆器の特長に「ろくろ挽き」という、ろくろを使って木工品を加工する技術があります。他には木地が透けるほど薄く挽き上げる「薄挽き」や、千筋と呼ばれる細かな無数の筋が施された「加飾挽き」など。いずれも山中の木地師にしかできない細工なのです。こうして挽き上げた木地に、何度も漆を塗っては拭き取る「拭漆」で仕上げた作品は、美しい木目を見せることで出来上がるもの。つまり、ごまかしの利かないことを意味しています。
同ブランドの『KARMI』や『TURARI』は千筋の繊細さを味わえるシンプルなデザイン。やわらかな曲線に温かみを感じます。
また、薄挽きの技が見事な『AEKA』は、手にした時の質感と軽さに、職人のプライドが感じます。
山中漆器のこだわりに『縦木取り』があります。これは原木を輪切りにして材料とする手法で、一度に作れる数は少ないのですが、歪みや収縮に強いものです。その精度は、上下に重ねて使用する蓋にはっきりと表れています。『TSUMUGI』のような椀物や『KOTON』といった小物入れに見る精巧な意匠は見るものを惹きつけてやみません。
伝統工芸というと、少し敷居の高いもののような気もしますが、我戸幹男商店の作り出す山中漆器は、素材を活かし職人技で作るカジュアルなシリーズばかり。本物の美しさそのままに、様変わりした生活様式にもすんなり溶け込みます。
古来から築き上げてきた日本の美意識を断ち切らぬよう、つないでいくことのできる逸品たち。まずは、ひとつ手にしてみることからはじめませんか?
我戸幹男商店
我戸幹男商店では伝統的な山中漆器の高い技術を活かした実用性、和の美意識に基づいた高い芸術性を追求し、長く愛される漆器作りを心掛けています。
サイズ:φ60×73mm
カラー:Plain / Brown / Black
http://www.gatomikio.jp/home.html
(価格・ラインナップは2018年8月現在のものです)
¥4,320(税込)