『GALLERY.S』はオリジナル家具ブランド『S50(エスゴジュウ)』を中心に、セレクト家具や帽子などの雑貨を販売しています。特徴は、既製の家具にはないサイズ感やオーナーの目で選んだオリジナルな品揃え。息の長いお店で、暮らしかたが変わる毎にここを訪れるお客さんもいます。
かゆいところに手が届く品揃え
狭い部屋や限られたスペースでは、家具の奥行や幅がほんの1センチ違うだけでも致命的です。後ちょっとなのに置けないとか、置くとドアが開かないとか。このお店のオリジナルブランド『S50』はそんな困った状況を解決してくれる豊富なサイズ感が魅力です。
「他の家具屋さんではつくらない家具をつくろうと思って、一人暮らし向けの小さなTVボードや木箱をつくり始めたのが最初です。色を限定する代わりにサイズ展開を10センチ刻みで細かく用意したら、予想以上のヒット。当初はセレクトしたビンテージの家具に合わせてつくっていたのですが、今ではこちらの方がメインになっています」
技術が進んでTVやビデオデッキなどの機器類が薄く小さくなれば、それに合わせてTVボードもコンパクトに、家具屋さんのなかでもベンチは少ないと気付けばベンチのバリエーションを厚く。大きな家具屋さんが拾えない隙間が『S50』の得意分野です。
アンバー1色のみなので、テーブルとベンチ、スツールとテーブルなどの組み合わせもしやすく、後から買い足していっても統一感が保てます。
家具選びは腹落ちすることが大事
目黒通りに店を構えて15年。独身時代に『S50』を買っていった人が結婚を機にサイズ違いの家具を買いにくることもあるといいます。また、かつて帽子を買っていった高校生が、大きくなって家具を買いに来たこともあるそう。聞いているだけで、うれしくなるエピソードです。
オーナーの田山さんには、お店を始めた頃から変わらないポリシーがあります。
「家具は一度、買ったら、洋服のように畳んでしまうこともできませんし、場所もとります。使えなかった場合に、処分するのも大変です。ですから、迷っているお客さんには薦めないことにしているんです。少し変わった方針かもしれませんが、自分に自分の考えがあるように、お客さんにもお客さんの考えがありますから、じっくり吟味してほしいと思います」
よく見て考えて、納得してから買ってほしい。
そんなスタンスを貫き続けてきたからこそ、お客さんとの関係も長続きするのかもしれません。
「もちろん、買われる方には丁寧に説明しますが、気に入っていただけるまでは積極的な接客はしません。そんななか、購入を決め、長く使ってくださっているお客さまには本当に感謝しています」
お店に置くビンテージ家具やグッズは、つくられた国や年代にはこだわらず、雰囲気に合うものを揃えているそう。「S50」をつくったときに出る端材を活用した小物など、小さなお店ならではのものもひっそりと販売されていて、ただ眺めているだけでも楽しいお店です。もしかしたら「検索」では見つからない、偶然の出合いもあるかもしれません。
PHOTO by Yusuke Nishimura
GALLERY.S
目黒通りでお店をやっていて感じるのは、色々なお店があることのおもしろさです。商品の種類や価格帯、接客のしかたなど、お店ごとに違いがあって、どのお店も個性的です。そのなかから選ぶのはお客さん。若い人のなかには、目黒通りといえば家具というイメージのない人も増えてきていますが、これだけ色々なお店があるので、きっと楽しんでもらえると思います。ぜひ目黒通りに、そして、「GALLERY.S」にも気軽に遊びにきてください。
by オーナーの田山さん
東京都目黒区下目黒5-18-20
Tel. 03-3791-5594
Email s-tayama@nyc.ocn.ne.jp
12:30 – 18:30 不定休