目黒通り・元競馬場の歩道橋からほど近く、ガラス越しでも漂う上質な雰囲気と大きな看板が目印のお店がオーダー・造作家具の『kanna』です。この地にショールームを構えて、約1年。すでにいたる場所に、この道25年の職人の心意気が詰まっていました。
屋号に掲げる、自身のプライド。
2年半の修行期間を経て、23歳という若さで独立を果たしたオーナーの艸島(くさじま)さん。当時はアパレルショップの設計・施工をメインにしていたこともあり、ショーケースや洋服をかける什器などを製作することが多かったそうです。そこから徐々にイスやテーブル、リフォームも手がけるように。そして屋号をkannaにしてから16年、オリジナルの家具をつくる上で、ずっと大切にしていることがあります。
「家具をつくる工程の中で、『サンディング』というヤスリをかける機械で仕上げを行うのが一般的となりました。そんな中、僕らが家具を仕上げるときに使うのは、ほぼ鉋のみ。そうしないと、もっとも大切にしている、“エッジ”と“肌触り”が生まれません。どの家具の角も、ぼかさない。きっちり切り替えてエッジを出すように削ります。kannaの方向性を示す意味でも、それはずっと変わらないところですね。
その軸があるからこそ、流行に囚われることなく、僕らが目指す普遍的なかっこよさを追求できているのかもしれません」
TVボードにソファ、テーブルはもちろん、アイランドキッチンのようなひとつの空間と呼べるものまで、家具として捉えていると艸島さんは語ります。だからこそ、kannaの手がけるすべての製品には、細部までこだわり抜いた質感と、設置したときのバランスの良さが生まれるのです。
ひとつの家具が、家族とすごす理由になる。
店内に入って、まず視線を引きつけられるのが、壁に設置されたTVボードとオーディオシステム。艸島さんが得意としているジャンルだけに、そこには目には見えないポイントが詰まっていました。
「家具やインテリアを選ぶ時って、大半は女性が主導権を持っていると思います。でもkannaの場合は男性に興味を持っていただくことが多いんです。シックでハードなデザインという点もありますが、やはり喜んでもらえるのがスリット。男性の気持ちとしては、自慢のオーディオ機器を隠すのはもったいない。その一方で、女性はたくさんのコードが見えているのを嫌いがちです。
そこで、配線の隠ぺいを徹底しながらも、隙間から機材が覗くスリットという手法が、両者にとってベストな選択になっていると思います。リビングは、家の中で長い時間を過ごす場所。いい音で音楽や映画を楽しめるのは幸せなことですよね」
また現在は、タブレットひとつで、照明やテレビ、エアコンはもちろん、カーテンやホームシアターのスクリーンなどの機器を操作できる、オートメーションにも力を入れているそうです。店舗の設計や施工を手がけることで磨かれてきた、空間演出のアンテナの高さを感じます。作家性や芸術性を追い求めるわけではなく、単純に道具としてかっこいいモノをつくり続ける。そうして生み出された家具と、ショップから一般住宅まで、数多く手がけてきた実績と提案力が、このショールームには詰まっているのです。
一度でもその職人技に触れれば、そのものづくりの深さに圧倒されてしまいます。それは2つとして同じものは存在しない、造作家具にだけ宿る感覚です。熟考されたデザイン、機械では再現できない絶妙なライン、そして仕上がりの美しさ。“憧れの”という冠がふさわしい家具だけがある空間に、あなたも訪れてみては?
PHOTO by Yusuke Nishimura
kanna 目黒店
kannaになってから、もう16年が経ちましたが、未だに11年前のモデルもラインナップしています。当時からひたすら、かっこいい家具をつくるために、細かいところにまで妥協せずにやってきました。どれだけ探しても見つけられないものをつくっているので、ぜひ一度ショールームに遊びにきてくださいね。
by オーナーの艸島さん
東京都目黒区下目黒4-10-30 カサディ目黒1F
TEL:0120-04-6262
FAX:03-6451-0806
営業時間:11:00 ~ 19:00
定休日:水曜日(但し祝日の場合は、営業いたします)
http://kanna-fc.com/