憧れの地で目指すのは、家具の復興。【rocca 六家道具商店 目黒店】
目黒通りで家具屋さん巡りをしていると、歴史を感じさせる建物が意外と多いことに気づき、その長い年月に思いを馳せてしまうことがあります。もともとは一棟だったという民家を3分割したという『rocca 六家道具商店 目黒店』もそのひとつ。昔ながらの木枠にモザイクガラスがはめられた引き戸を開けると、そこは家具と芸術がミックスされた空間でした。
名もなき家具に眠る本当の価値をみつけて。
食器が並ぶ机とアンティークのイスが数脚、そして照明が何本か吊るされたシンプルな店内。ネットが主体ということもあり、ここは事務所としての機能がメインにしているそうです。お客さんの窓口として目黒通りにお店を構えて3年目、今では買取の依頼も増えてきました。そこには家具の“これから”に向き合う信念と理念があるからと代表の加守さんは語ります。
「家具にも当然、相場があります。有名なブランドだったり、希少性の高い素材をつかっていたり、そういうものは市場価値がはっきりと存在するのでわかりやすい。でも無名な家具でも、みた瞬間に『かっこいい』とか『いいな』って思えるモノには的確な価格をつけるようにしています。
本当に造りがいいものは、誰がどうみても違いが分かるんですよ。数年前までまったく家具の知識がなかった僕が、実際にそうでしたから」
ブランドやデザイナーにとらわれない審美眼こそが、真の価値ある家具を見つけ出す。現在の市場では値段をつけられない製品にコストを与えることで、品質の良さにフォーカスすることができます。その結果“なぜヴィンテージがいいのか”を説得力を持って伝えることができるのです。
アンティーク家具があるワンシーンがきっかけで。
実際にこの地に店舗を構えてみると、「目黒通り=家具通り」ということが、意外と知られていない現状を目の当たりにした加守さん。roccaとして何ができるのかを考えた末、家具屋さんとしては珍しい、ある取り組みをはじめました。
「たまたま役者をやっている人が勤めていたので、この店を使って舞台をしてもらいました。そこで使われるセットは商品の家具を使って。それなら、家具に興味はない人でも、演劇を見ながら『こういう家具もあるんだな』と認識はしてもらえます。そうすると自分が惹かれるテイストが、少しみえてくると思うんです。だからまずは、見てもらう機会をつくりたいなと思ってはじめました」
有名無銘を問わず価値ある家具を揃えたラインナップ、そして空間を活用して多方面からヴィンテージの良さを発信していく姿勢。それは今までなんとなく家具に触れてきた層の人たちにも、価値を届けることにつながっています。
6月には店内でアートインスタレーションを開催するとのこと。この機会に家具と芸術のコラボレーションを体験してみてはいかがでしょうか?
店内はけっして広いとは言えません。しかし、そこに訪れて出合う家具たちは、大型のインテリアショップでは触れることのないモノばかりです。家具が溢れる現代だからこそ、購入する側にも選ぶ力が試されているのかもしれないと感じる1日でした。
PHOTO by Yusuke Nishimura
rocca 六家道具商店 目黒店
僕としては、この目黒通りが憧れの地だったんです。だから盛り上げていければと思うし、もっと多くの人に家具に触れてもらいたいと思いますね。HPをご覧いただければ店舗に置けない大きなソファやダイニングセットもたくさんあるので、気軽に相談してください。もちろんroccaで展示販売したいという作家さんも募集しています。
by 代表の加守さん
〒153-0063 東京都目黒区目黒4丁目11-5
TEL : 03-5708-5489