住空間において、大きな面積を占めるのがカーテンや壁紙。住まいの印象を左右する大切な要素にもかかわらず、専門店に足繁く通った、という人は少ないのではないでしょうか。しかし、このショールームに1歩足を踏み入れたら、帰る時にはあなたにも「憧れの生地」ができているかもしれませんよ。
まるで生地の見本市。その数なんと……。
エレベーターを上がってすぐの入り口をくぐると、ビルの外観からは想像できないほどのひらけた空間が広がっていました。そこは、ファブリックや壁紙など、常時8万点もの品揃えを誇る『マナトレーディング』のショールーム。2つの自社ブランドとヨーロッパを中心とした海外ブランドを20社以上も展開しています。
「私たちはあくまでショールームですので、こちらに来場いただいても、その場で購入することはできません。ただ、こういった形態だからこそ、これだけの品数を常に取揃えることが可能になっています。一般の方にも、ぜひ訪れてもらって、さまざまなブランドに触れ、ご自分のイメージに合う生地を探していただきたいですね。もちろん、その生地が購入できるショップもご紹介させていただきますよ」
空間のコーディネートを考える時、なぜか後回しにされがちのファブリック。しかし、これだけの布たちを目にすると、もう触れられずにはいられません。海外ブランドと国内自社ブランドを展開していますが、それぞれの特徴はあるのでしょうか。
「もっとも顕著なのは発色です。どれだけ見本をみながらつくっても日本では出せない色合いが海外のブランドにはたくさんあります。本当に微妙な差なのですが、明らかに違う。そういった点にこだわって選ぶことができるのも、ファブリックの面白いところですね。一方で日本製のものは、機能性や品質が素晴らしい。モノそのもののつくりという点では、世界でもトップだと思います」
トップブランドのハイエンドモデルが勢ぞろい。
ファブリックや壁紙をはじめ、インテリア商材を幅広く扱うマナトレーディングですが、初心者には何を基準に選べばいいのか、すこし難しいところ。そこで頼りになるのが、生地のプロであるショールームのスタッフの方々です。今回はショールーム担当の小池さんと広報の前島さんに、まずは押さえておきたいブランドをご紹介いただきました。
「当社がプッシュしているブランドのひとつが、イギリスの『ウィリアム・モリス』です。産業革命時代に活躍したデザイナーなので、すでに150年以上の歴史があります。ベストセラーと言われる生地をいくつも生み出してきた名門なんですよ。中でも“モリスが今、生きていたら?”というコンセプトでつくられている『ピュア・モリス』という新シリーズがオススメ。トレンドがミックスされつつ、当時のデザインが活きていて、クラシックとモダンのどちらのスタイルにもマッチしますよ。
そして生地好きにはたまらないのがイタリアの『ルベリ』というブランド。ここの特徴はブランドでありながら自社工場をもっているところです。自分たちのデザインを自分たちでつくるというスタンスですね。世界各国の著名なホテルやオペラハウス、劇場などにも導入されていて、その格調の高さは生地を見ていただければ、納得してもらえると思います。また一見すると無地で単色の生地でも、よく見るとテクスチャーが入っている。そういった仕事の細かさというのも、見ているだけでたまりません」
どちらもファッションブランドで言うところのカルティエのようなハイエンドブランドとのこと。たしかに価格もさることながら、実際に触れてみると、安価な生地とはまったくの別物でした。
「壁紙だとちょっとアーティスティックな側面が強いですが、フランスの『エリティス』もご覧いただきたいです。壁“紙”といいつつ、素材が木だったり、貝殻だったり、と発表のたびに『そうきたかー!』って驚かされています。ただ、日本だと消防法の関係で壁紙としては使えません(笑)。ですので、キッチンカウンターに貼ったり、アート使いをしてもらったりという提案をさせていただいています」
日本は長らく障子の文化で、現代の住宅事情ではインテリアとして意識的に取り入れられることが少ないカーテン。遮光や目隠しとしてのアイテムとして選んでしまいそうになりますが、必ずしも用途とデザインが両立できないわけではありません。まだまだ日本では馴染みの薄い「ウィンドウ・トリートメント」という窓周り装飾の考え方は、空間に備えたい機能を、優れたデザインとともに叶えて、お部屋の印象をガラリとかえてくれそうです。
PHOTO by Yusuke Nishimura
MANAS
ファブリックは多くのお店で1mから購入できるので、カーテン以外の楽しみ方も試していただきたいですね。例えばショールームにも、たくさん見本があるクッションカバーをつくってみるとか、イスの張り替えとか。自分の暮らしのどこかに好みのファブリックを取り入れると心も踊ると思います。プロユースのお店だと少し敷居が高く感じられるかもしれませんが、本当に気軽にふらっとショールームにいらしてください。布が大好きなスタッフが、いろんな角度からご提案させていただきますね!
by MANAS 広報 前島さん
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