渋谷、恵比寿、吉祥寺、丸の内、横浜、二子玉川……。
大の文房具好きである編集長・雨森は、デルフォニックスの直営店である「DELFONICS」、「Smith」がある街に行くたびに、ほしいものがあろうとなかろうと絶対に足を運び、どれだけ忙しい時でも、30分ちかくの時間をそこで過ごすのがマイルールとなっています。そもそも最初の出会いは、当時まだ地元の大阪にいた雨森少年(いや、すでにガッツリ青年)が、東京出張に来た時に買った1冊の手帳。そこからリフィルを交換し続けて、10年以上の月が流れています。
今では、ノートにペン、その他の雑貨、友人へのプレゼントなど、気づけば身の回りはSmithで買ったものばかり。それらの商品を企画・販売しているスタッフの方々との対談ということで、テンションが上がりきった挙げ句、今回なんと、自身の理想の手帳の形をプレゼンをするという大胆な行動に出てしまいます!
そんな“暴挙”に対し、終始こころよく、笑顔でお付き合いいただいたのは、広報の和田千波さん、商品企画やMDなど幅広く携わる黒本和美さん、デザイナーの宮下瞳子さんの3名。女性の訪問に、編集部がいつになく華やかな空気に包まれました!
(取材日:2019.06.24)
Theme 3「究極の手帳、プレゼン大会、始まる!!」
【3-1】手帳のカスタマイズサービス!?
雨森:僕、もともとすごくアナログ手帳が好きなんですね。もちろんグーグルカレンダーもガッツリ使っていますが、同時に手帳に書き写さないと、落ち着かないというか。その中で、理想系みたいなものがあって。それを……え〜……恐縮ながら……その……ちょっと、、、プレゼンしてもいいですか?
宮下:もちろんいいですよ!!
黒本:ぜひぜひ(笑)
雨森:すいません。素人の分際で。まず、マンスリーはマストです。あと、先ほども言ったように、かなりたくさんの案件を当時に進めているので、進行中の案件を一覧で見たいっていうのもあります。いまは無印のチェックリストの付箋を使っているんですけどね。
宮下:過去には、手帳の中にチェックボックスをつけようという話はあったんですよ。
雨森:で、ウィークリーかデイリーで、1日の時間軸が明確になっているものがあると、さらにいいなと。というのも、やはり抱えている案件の数が多いので、この日の何時から何時までは「A」をやる。そこから何時までは「B」をやる……みたいなことを決めているんです。そうしないと、急ぎの案件ばっかりやってしまって、「締切はないけど、大切な仕事」みたいなものに着手しなくなっちゃうので。今は、ウィークリーの部分に3時間毎に線を引いて管理しているんですけど。
宮下:バーチカルタイプだと、それができますね。
雨森:あ、そうこれ! これ、めちゃめちゃいい!!
雨森:そして最後に、メモ欄というかフリースペースです。とうぜんこれも必要。ただ、ここにも理想があって、これは収納とかでも同じ考え方なんですけど、僕はとにかく細かく区切りたい派なんです。たとえばクライアントとの打ち合わせ中に、ノートにメモをして、話が変わったら線を引いて区切る。またメモをして、話が変わったら線を引いて区切る……みたいなのがイヤなんです。そこでもう、自分だけが使う打ち合わせ用のシートをつくったんですよ。A4の紙がいくつかのボックスに区切られているだけなんですけど。普通こんなの、作らないですよね……。我ながら、気持ち悪い。
一同:え、見せてください!
雨森:学生時代にもいませんでした? ノートに線を引いて、まず半分に区切るやつ。やっぱりB5とかでも、横も縦も広すぎるんですよね。真ん中に線を入れて2つのエリアにするだけで、すごく使いやすくなります。
黒本:ノートを半分に折ってから使う人、いましたね。わかります。
雨森:例えば打ち合わせの中で、「与件」って出てきますよね。プロジェクトを進める上で絶対に外せない大事な条件、みたいなの。その時に、ただのプレーンなノートだと、その与件の部分を強調するために、グルグル! って丸をしたり、「大事!」って書いたりする。そういう処理が増えていくことで、どんどん見た目が煩雑になっていくので、もうあらかじめ枠をつくったんです。与件を入れる枠を。つまり、手帳のフリースペースも、もっと小さな枠で区切られていたらすごくいいなと。いま言ったすべてが入っているタイプのものが発売されたら、僕……もう1人で親戚分、買いますよ。
黒本:あの〜、もうちょっと増えないですかね……(笑)
雨森:あ、そうですよね。親戚って言っても、しょせん3〜4世帯ですもんね(笑)。つまり、価格が高くなってもいいので、カスタマイズできるというか、そういうサービスがあったらすごく面白いなと思って。僕だったら、ガントチャートとマンスリー、そしてバーチカルタイプ。さらにフリースペースは区切られている、みたいな。バリューセット的な感覚で、コレとコレとコレを組み合わせて、セミオーダーメイドの手帳ができる、みたいな。
雨森:ただ、やっぱりデジタルの普及にともなって、手帳もノートも需要は落ちている部分もありますよね?
宮下:そうですね。だから、安いだけのノートは、あまり必要とされていないんですね。逆に、値段が高くても自分が使いやすいノートなら、1000円くらいしても買う人がたくさんいます。
和田:以前、土橋正さんというステーショナリーディレクターの方と一緒に『ロルバーン ランドスケープ』というノートをつくったんです。横型のロルバーンなんですけど、『分割ガイド』がついているんですね。いまお話されていた内容が、とても土橋さんの考え方と似ているなと思って。土橋さんもノートを分割して使っているらしいんです。
雨森:なるほど! こういうノート、あるといいなって思っていたんです。なかったから自分で作りましたけど。さっきの地味なやつ(笑)
宮下:これも1000円以上するんですけど、とても売れています。やっぱり値段じゃなくなっているんですよね。
【3-2】ぜんぶ、ありました……。
雨森:今後、考えている新しい動きなどはありますか?
和田:これからロルバーンにさらに注力していく方向ではあります。先ほど話に出てきた『ガントチャート』のような機能性をプラスした商品もそうですね。あと、ロルバーンって方眼のページが多いので、そこをうまく活用できるようなスタンプなどもけっこうあるんですよ。
雨森:あ、こういうの、大好き。
和田:時間割を入れられたり、サークルになっているもので24時間の時間管理をしたり。
雨森:なるほど。これ、めちゃめちゃいいじゃないですか! 最近はこういうのを使って、自分の手帳をキレイに仕上げて、SNSに投稿する人も多いですよね。
和田:『バレットジャーナル』が流行ったりもしましたし、自分らしくノートをつくるという需要があるのかなと。
宮下:先ほど、ノートを区切りたいっておっしゃっていたじゃないですか? スリットのはいったテンプレートもあって、そういうニーズに対応したものもあるんですよ。
雨森:あ、ある。もうあるじゃないですか、僕がほしかったの(笑)
一同:(笑)
宮下:あと、チェックボックスがほしいっておっしゃってたのも、これは星型なんですけど、スタンプを押してつくることもできます。ここにはないですけど、四角のもありますし。
雨森:あ、ある(笑)。ぜんぶ、ある。あるわー。ここにあったわ。
宮下:ありましたね(笑)
雨森:では、デザイナーの方々が、今後考えていることなどはありますか?
宮下:広報と同じ意見なのですが、やはりロルバーンがすごく人気なので、それを使いやすくするためのアイテムづくりに、これからも取り組んでいくかなと。ただのノートではなくて、一工夫で使いやすくなるっていう、そこを強化していきたいですね。
雨森:でも、どっちがいいのかな……。汎用性の高さで考えると、真っ白でプレーンなものがいちばんですよね? 区切ったり、チェックボックスをつけたりすることで、わざわざ使い方を限定する必要はないわけで。真っ白だったら、そこから何だってできるので。
宮下:そうなんですけど、やっぱり何かがないと1から自分でできる人は少ないので。『ロルバーン ランドスケープ』も、いわば区切るためのガイドがついているだけなんです。でもそれだけで、すごく使いやすくなって、実際に人気商品になりました。そういうちょっとしたことで、ヒントになるんだなって、実感しました。
黒本:そうなんです。土橋さんと打ち合わせをしていたときも、はじめにノートを区切っていました。「今日は○○と○○と○○の3つで……」みたいな。一つ一つの問題を小さくすると、モノゴトの筋道が立てやすくなるので。
雨森:確かにそうですよね。同じお客さんの、同じ案件でも、さまざまな違う要素が組み合わさっているので、これとこれは違う話だっていうのを、視覚的にもつかめる状態でメモが出来た方がいいんですよね。
黒本:はい。だから、さっき雨森さんの手帳や打ち合わせシートを見て、すごいなって。自分でここまでできる人ってなかなかいないですよ。
宮下:うん。やっぱり、男性の方が、実は整理とか好きなんですよね。
雨森:いやいや、お恥ずかしい!(笑)。プロの方々に向かって、いろいろと勝手に喋ってしまって、すいませんでした!!
ロルバーン ランドスケープ フィールド
土橋正さんとDELFONICSが作った、「考える」ためのロルバーン
ステーショナリーディレクター・土橋正さん監修のもと、シリーズ初の横型ロルバーンが誕生しました。「考える」ことに着目して作った、ビジネスパーソンに適した1冊です。
各ページの上下左右に付いた「分割ガイド」が最大の特徴。ガイドを使って1ページを分割して使うことで、「思考モード」を切り替えることができます。メリットとデメリットを書き出したり、アイディアをグループ分けしたりと、思考を整理しながら使えます。右ページの端には、検索に便利なインデックス用のガイド付き。
¥1,155(税込)
DELFONICS(デルフォニックス)
ちょっとでもステーショナリーに興味のある人であれば、もう説明不要なブランド、デルフォニックス。はじめて内部の方とお話させていただきました。いちばん驚いたのは、現場で活躍するデザイナーさんが、企画から世の中に出るまで、すべてを担っているということ。これくらい大きなブランドだし、てっきり、えら〜いアートディレクターとか、外部のデザインコンサルの人とかが監修的なことをしているんだと思っていました。
あれだけお店に何度も行っているのに、知らない商品もたくさんあって……。週1だな、これからは……。
デルフォニックス公式サイト:http://www.delfonics.com/
デルフォニックスWEB SHOP:https://shop.delfonics.com/