「立体的な本」と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、ページをめくることでシーンがグイっと立ち上がる『飛び出す絵本』型ですよね。しかしその「本✕立体」という概念に、新たな発想とデザインが加わったことで、新しい三次元の世界が生み出されました。
原点はメモブロック!?
今回紹介する『360° BOOK』は、そもそも「ページをめくる」という行為を必要としません。まず本を立て、そこから円を描くようにぐるっと開きます。そうすると、繊細にデザインされたページ1枚1枚が連なって、円の中に絵が浮かび上がってくるのです。
この画期的な方法を生み出したのは、著者の大野友資さん。一級建築士でありながら、建築にとどまらず、インテリアやプロダクト、インスタレーションなど、横断的な活動をされています。
そんな大野さんが「新しい立体表現」を模索していた頃、メモブロックをパラパラとめくっている時に「断面図を円弧上に並べる」という発想が生まれました。そこから「建築模型やジオラマの感覚」と「開いた状態で固定できるもの」という点をクリアした、“本”という形にたどり着いたのです。最初のゴールが「こういった本をつくる」ではなく、あくまで「表現したい立体の実現」だったことが、綿密な製本やページのカッティングにつながっているように感じます。
外見は可能な限りシンプルに、製本上の仕掛けもすべて本の中に収まるように設計。臨場感を醸し出すために、3Dモデルの中で何度も検証を繰り返し、空間のプロポーションやシルエットを練り上げていきました。
手のひらに宇宙を。
90mm×90mmという手のひらサイズの1冊を開くと広がるのは、宇宙空間だったり、日本の象徴『富士山』であったり、ときには『白雪姫』の物語だったり……。1ページに施された細かなデザインとカッティングによって、見えてくるものが角度によって変わっていきます。その名の通り、360°に凝縮された世界をじっくりと楽しんでください。
現在のラインナップは『地球と月 Earth and the Moon』『富士山 Mount FUJI』『白雪姫 SNOW WHITE』の全3種類。本としてはもちろん、インテリアやギフトにもおすすめです。人とはちょっと違った、素敵な体験のサプライズをぜひお試しあれ。
All Photo:Gottingham
青幻舎 『360° BOOK』
青幻舎 『360° BOOK』
360°BOOKは、これまでにない方法で三次元の世界を表現した画期的な本です。見るものを二次元から三次元の世界に誘います。
著者:大野 友資
出版社:株式会社 青幻舎
サイズ:90mm x 90mm(ケースサイズ 120mm x 120mm)
¥2700(税込)