家具・インテリア相談の四次元ポケット【vise】
これまで、さまざまな家具屋さんを紹介してきましたが、今回お邪魔したのは目黒通りの家具屋さんを陰で支える、ちょっと変わったお店。職人の経験を存分に生かして、家具の修理・修復やリサイズ・リメイクのサービスを提供するショップ『vise』です。
「壊れたら直せる」を常識にするために始めた、町の修理屋さん
家具が壊れたとき、あなたはどうしますか? 大きくかさばる家具は廃棄したり買い替えたりするのも大変です。直すにしても、誰に頼めばいいのか分からない。viseはそういう時に気軽に相談できる場所として、5年前にオープンしたお店です。
「こちらを運営している『フィズリペアワークス』は、アパレルや飲食店などの内装や家具の修理、修復をしている会社です。長年そうした修理の仕事をするなかで、きちんと手を入れれば家具は長く使えるということを多くの人に知ってほしいと思うようになりました。靴や服は、メーカーを問わず、修理してくれるお店がありますよね。でも、家具はそういうお店がない。家具のリペアサービスのお店があれば、家具修理について知ってもらうきっかけになるのではないかと考えたのです」
そう話してくださったのは、フィズリペアワークス代表で、viseのオーナーでもある西原さん。
実は、私たちが「壊れた」と思っている椅子やテーブルは、分解してメンテナンスすれば使えるものも多いそう。職人さんが調子の悪いところを見つけて、お客さんの希望を聞きながら、ベストコンディションに整えれば、充分に現役で使い続けられるのです。
ブックシェルフがチェストに!? 修理・修復の先に広がる世界
「家具は直しながら使い続けられる」。西原さんがviseというお店を通して伝えていきたいのは、さらにその先に「家具の使い方は無限に広がっている」ことだと言います。
viseでは、「フォーフィニッシュ(疑似絵)」や「クラフトワーク」、「ペイントワーク」などの技術を組み合わせて、家具のリメイクやリサイズもしています。
「たとえば、海外で暮らしていた方からの依頼では、日本でも気に入って使っていた背の高いブックシェルフをリサイズしたいというお話がありました。引っ越し先は天井が低く、ブックシェルフのままだと使えないので、背丈を縮めてチェストにできないかというご相談です」
職人さん達の手にかかれば、そんなリメイクも不可能ではありません。そればかりか、チェストの高さに縮める際にカットした部分の端材で小物をつくるなんていうこともできてしまいます。
「ほかにも、家族構成が変わったので、6人掛けのテーブルを2人掛けに縮めたいというご依頼や、親から譲り受けた濃い色のテーブルが重たい印象で、リフォーム予定の明るいインテリアに合わせると浮いてしまうのだが、どうにかできないかというご相談もありました」
重厚感のあるテーブルは濃い色の塗装を剥がして、元々の木の色を見せたクリア塗装に仕上げ直すことを提案。明るい色になったテーブルは新しい部屋にしっくり馴染み、依頼主も大喜びだったそうです。
家具の形やサイズを変えるほか、張り地を変えたりペイントしたり。家具リペアや内装の仕事で培ってきた技術を組み合わせれば、どんな家具にも、使い続けられる可能性とお気に入りにするための選択肢が生まれます。viseを訪れれば、家具のもっと自由でもっと新しい楽しみ方が見つかるかもしれません。
PHOTO by Yusuke Nishimura
vise
家具修理と、そして、その先に広がるインテリアの楽しみを広く伝えていきたいと思っています。理想のイメージは、フラッと入って店主と話すうちにインテリアのヒントが見つかる、そんなサロン的なショップ。「DIYをやってみたいけど、どうやったらいいか分からない」などのご相談も歓迎です。どうぞ、気軽に立ち寄って、ヒントを見つけていってください。
by フィズリペアワークス代表の西原さん
東京都目黒区柿の木坂3-1-2 マンション柿の木坂1F
Tel. 03-6805-2070
12:00 – 19:00 日曜定休
http://fizzr312.wixsite.com/vise