vol.21 電話が苦手

電話が苦手だ。

電話が苦手だということ自体も、もうしばらく忘れていた。
ふと「雑談したいなぁ」と思ってそのことを思い出した。

誰かと気軽になんでもない話をしたくて、オンラインで何人かで集まって雑談する会を開催したらどうかなぁと思ったのだけれど、そもそも私は電話も苦手なのにオンラインで複数の人と雑談できるのだろうか…と思った。

電話が苦手なのは他の作業をしているところに突然かかってくるから、というのも大きくて、事前にかかってくることがわかっていればその点についてはある程度解決できるのだけれど、それでもなにかが落ち着かない。

直接会って話す場合は、空間や料理など、話以外にも共有しているものがあってその部分も楽しめるけど、声以外に共有するものがないと、しゃべらなきゃって思ってしまって落ち着かないのかもしれない。話すことがメインの目的ではない場でポツポツと雑談する、みたいなのが割と好きなのだ。

以前音声通話アプリで遠くに住んでいる友人たちと話したときは楽しかった。
だけど複数の人が話していると、自分がどのタイミングで話し出せばいいのかわからなくてなんだかアワアワしてしまう。
勇気を出して声を発した瞬間に通信が乱れてみんなにうまく伝わらなかったらどうしよう、と無駄にオロオロしてしまう。
大縄跳びが苦手なのだ。輪に入るタイミングがわからない。こんなに人と話したいのに…。

ラジオや配信で人が話しているのを聴くのは大好きで最近よく聴いている。人の声を聴いていると落ち着く。
聴いているだけなら気楽で楽しいのになぁ。でも私も話したいなぁ。なんでもないことを。その人としかできない話を。

はぁ…、川原でピクニックとかして、話したい人は話して、歩きたい人は歩いて、昼寝したい人は昼寝して、食べたい人は食べて、帰りたい時に帰って…ってしたいなぁ。

今までは普通のことだった場を共有するということが、突然とても贅沢なことだったように思えてきてしまった。また普通にそういう時間を過ごせる日が来たら、うれしくて泣いてしまうかもしれない。それまでどうしたらオンラインで気楽に楽しく人と交流できるか、しばらくいろいろ試してみたい。

2004_1

amycco.さんの著書「文鳥ちゃん」

yabai

文鳥ちゃんは、羽のお手入れと恋に夢中な白文鳥の女の子。
人間の「あきぴょん&えみ夫妻」と一緒に楽しく暮らしています。
ところがある日、文鳥ちゃんはあきぴょんに恋をしてしまい……
あきぴょんをめぐる恋の三角関係の行方は……?
¥1,512(税込)

『文鳥ちゃん』

amycco.著
出版年月日 2016/4/19
ページ数 111p
定価 本体1,400円+税

amycco.

amycco.prof

イラストレーター。

雑誌や書籍、雑貨などを中心にイラストレーターとして活動中。毎日文鳥に怒られている。

『文鳥ちゃん』(洋泉社)発売中。

公式サイト:http://amycco.com/