vol.32 夏のイルカ島

夏祭りも花火も、何もなかった夏。
夏の前半は毎日ずっと雨で、夏の後半は毎日ずっと猛暑だった。
そんな夏の終わりに夏らしいことをしたくて、三重県のイルカ島に行ってきた。

鳥羽のマリンターミナルから観光船で20分。
毎日近所の川も海もない景色ばかり見ている私には、広い海の真ん中を大きな船に乗って走るだけでもとても楽しかった。

島の大きなプールにはイルカがいて、プールの前に立って見ているとイルカが何度も行ったり来たりした。

島には遊泳禁止の小さなビーチがあって、ほとんどの時間をそこで過ごした。
平日ということもありビーチは貸し切り。遠くまで見渡せるビーチでのんびりしているだけで気持ちが広々としていった。

子は海を見てすごく感動したみたいで、潮の満ち引きを発見して不思議に思い、おうちに帰ったら潮の満ち引きのしくみをレゴで作って実験する!と興奮していた。

帰ってからは潮の満ち引きの説明をしている動画を見ながらレゴでせっせと「じっけんそうち」を作っていて、遅くまで寝なかった。

いろんなものと出会うチャンスさえあれば、子は勝手におもしろさを発見して自分で世界を広げていくなぁ、もっといろんなところに連れて行ってあげたいなぁと思った。

いろんなものがネットで調べれば見られるけれど、やっぱり海の動画を1日中見ていたとしても、子は潮の満ち引きの不思議に自分で気付くことはなかっただろうと思う。
もし私が潮の満ち引きっておもしろいよと言ってわかりやすく説明した本や動画を子に見せただけだとしたら、こんなに興味は持たずに終わっただろう。

家にいてもネットで世界中のものが見られる気がするけど、やっぱり撮った人の視点でしか見られないものなぁ。
行動が制限されて、ネットにはずいぶん助けられているけど、スケール感も解像度も違うし、やっぱりリアルで好きなだけ見て触れていろいろ発見してほしい。

オンライン世界旅行をしてみたり、近所の空いていて楽しい場所を開拓したり、この数ヶ月いろんな試みをしてきたけれど、やっぱり旅がしたい。いろんな景色を見たい。自由に移動できる世の中に早くなってほしいなぁ。

2009_1

amycco.さんの著書「文鳥ちゃん」

yabai

文鳥ちゃんは、羽のお手入れと恋に夢中な白文鳥の女の子。
人間の「あきぴょん&えみ夫妻」と一緒に楽しく暮らしています。
ところがある日、文鳥ちゃんはあきぴょんに恋をしてしまい……
あきぴょんをめぐる恋の三角関係の行方は……?
¥1,512(税込)

『文鳥ちゃん』

amycco.著
出版年月日 2016/4/19
ページ数 111p
定価 本体1,400円+税

amycco.

amycco.prof

イラストレーター。

雑誌や書籍、雑貨などを中心にイラストレーターとして活動中。毎日文鳥に怒られている。

『文鳥ちゃん』(洋泉社)発売中。

公式サイト:http://amycco.com/