モノづくり大国、日本。ほぼすべての地域にモノづくりの現場があり、こうしている今も、多くの職人たちが、自らが磨いた技を用い、たくさんのモノを生み出していきます。
しかし時代はそれを是としません。大量生産・大量消費、スピード社会の波が、多くの職人たちを苦境に立たせています。それを「自然淘汰」と割り切るか、もしくは抗いを見せるのか。
その狭間で1つのライフスタイルを提案していく男性がいます。
日本中、あらゆる場所で活動中です
全国の作り手を応援するために。また、次の世代に伝えるべきものを探すために。にっぽん てならい堂の活動がスタートして、もうすぐ4年が経とうとしています。
「やり始めると、思っていたより共感してもらえる人も多かったんです。メディアにも拾ってもらえましたし、作り手さんにも『結果は気にしないから、とりあえずやってみよう!』と協力してもらえました。
立ち上げて最初のイベントが満席になったんですよ。自分なりに社会的なニーズを感じて始めたことが、世の中できちんと認められた感覚でしたね」
現在では、木工や器、染め物、書道に和裁、伝統的な食文化の体験……と、てならい堂がプロデュースするワークショップ・工場見学のカテゴリは、本当に多岐にわたります。
「実際に職人さんたちの仕事を間近で見ると、その技の素晴らしさや必要性を、すぐに感じてもらえます。今では遠方からわざわざ新幹線に乗ってワークショップに来てくださる人も増えてきましたよ」
「伝統工芸」「地場産業」と聞くと、どうしても地方のイメージを持ちがちですが、中村さんいわく、そうでもないとのこと。むしろ、日本でモノづくりが行われていない場所を探す方が、難しいそうです。
「例えば新宿区の落合は伝統的に染め物の街なんですよ。今ではそこに住んでいる人にさえ、あまり知られていませんけどね。あとは、文京区の本郷には90年もつづく金魚の問屋さんがあったり。
都内でもやっているので、仕事帰りに毎回きてくれる人もいるんですよ。布を染めるのがストレス解消になるみたいで(笑)」
PHOTO by Kaori Nozaki / てならい堂より支給