こんにちは! ねおみのるです。
もうすっかり涼しくなりましたが少し前に出ましたね。『iPhone7』が。皆さんはもう機種変更をしたのでしょうか。
さて、今回は早速『iPhone7plus』に機種変更をした方より「手帳型レザーカバーがほしい」という依頼があったので作ってみたいと思います。
先に完成品を見せちゃいましょう! こうなりました。
iPhone7plusのサイズなのでけっこう大きめです。赤いレザーが美しいですね。
はい! これ、作ってみましょう!!
それでは早速、今回の行程をご紹介したいと思います。
①打ち合わせ
②図面を書き、色々と想定をする。
③素材を揃える。
④いざ制作。
打ち合わせ
「iPhoneカバー」と一口にいっても様々なかたちの物がありますよね。
完成してから「あれっ?」とならないよう、依頼者の方が求めるイメージを、直接ヒアリングします。
その結果、
・手帳タイプ
・カードが2、3枚入ると嬉しい
・ボタン(フック)は真鍮がいい
・色は渋めの赤がいい
・肴はあぶったイカでいい
ということでした。なるほどなるほど。しっとりとした大人なスマホカバーになりそうな予感です。
図面を書く
まず、iPhone7 plusのケースサイズがよく分からなかったので電気屋さんで先にケースだけ買ってきました。
それをもとにして、さっそく図面を書いてみます。
革を買う時にどのくらいの大きさのモノを買えばいいかが理解できるので、基本的に図面を書くことをおすすめします。
で、書いたのがこれ。
まずはざっくりとサイズを入れて書いてみます。
実はスマホカバーを作ったことはなくて、僕にとって今回が初めての制作となります。
ということで、まずは雰囲気をつかむために、余っている端切れの革で簡易に作ってみることにします。サイズは僕の「iPhone5」で。
で、出来たのがこれ。
糸は縫わずに雰囲気だけつかみます。これで折り曲げてみると見事に幅が足りないことが分かりました。
一応、革の厚みも考慮はしていたのですが思ったより幅をのばした方が良さそう。
良かった。デモで作っといて。
さて、もう一度図面を書き直して、本番の型紙を作ります。
型紙は普通のマス目入りの方眼紙を使っています。懐かしくないですか? 小学校以来、見たこともない方も多いのでは。
書いた通りに輪郭で切り取って……
素材を集める
行ったのは浅草橋。革関係のお店が多いのです。
そして仕入れた革がこれ。
その他に、超強力な両面テープ、麻糸、ホックを用意。
写真は「バネホック」と呼ばれるものになっていますが、後で「ジャンパーホック」に変えました。麻糸は今回、赤色をチョイス。
いよいよ、制作!
革に型紙を合わせて
……
次は描いた線に沿って切っていきます。
刃物を使う時は集中して指を切らないようにしましょう。
革包丁が使いづらければカッターナイフでももちろん大丈夫です。
ここで念のため重ね合わせて閉じてみたりしました。うん。今度は大丈夫そうですね。
それでは次にこの切り離したパーツごとに処理をしていきます。
まず、革は何も処理をしていないと裏面(床面:とこめんと言います)は非常にざらざらと毛羽立っているのです。これを鞣して(なめして)きれいにしていきます。鞣す時にはこれを使うのです。
トコノールはクリーム状になっているので指で取り、床面に塗って伸ばします。
そしてガラス板と呼ばれる物でごしごしとクリームを伸ばしながら平らにします。(なければ何か別の平らな板状のものでもなんとかなります)
これをすべてのパーツに対して行います。すべてにトコノールで鞣し終えたらしばらく放置して乾かします。
ちなみに接着する面は鞣さずにあえて毛羽立たせておく方が接着剤が良く効くのでそのままにしておきます。もしくはカッター、革包丁やヤスリなどでザギザギにしておきましょう。
今回で言うとスマホの下に来る部分などはノートコノールです。ノートコノール。二回言ってみましたよ。
さて、このバラバラのパーツを組み合わせていきましょう。まずはカードケース側から攻めましょうか。
接着剤はプラスチックのヘラなどで端っこまできれいに広げます。
ここでポイントなのが、接着剤は塗った後すぐに貼り合わせるのではなく、少し乾かしてから貼付けた方が接着が強くなります。何でかは科学的な話っぽいのでうまく説明できませんが。
接着できました。次の行程としては、このカード入れの下部分だけを縫います。パンツ型なのでちょうど大事なところですね。
上の写真の右の道具を見てください。これはグルーバーと言って革に沿ってまっすぐ線を引くための道具です。単体で見ると使い方が謎でしかないですが……
こうやってきれいに線が引けます。使ってみるとかなり便利な道具です。
次はこの線に沿って縫い目をあけていきます。そうなんです。レザークラフトの場合、事前に縫い目をあけておくんですね。そこが布との大きな違い。
線に沿ってこの菱目打ちで穴をあけるのですが、①は下の革の位置です。②③④は二枚重なった位置ですね。
伝わっていますでしょうか……。まあ進めます。
これで上からハンマーで打ち付け下まで貫通させます。あっ、これをやるときは革の下にゴム板を敷いておきましょう。
次です。先ほどあけた穴の一番端。写真で言うと白の④です。そこに黒の①が重なるように次は穴をあけます。
こうすることによって、穴の間隔が一定に揃うというわけですね。
まずは糸を用意。
麻糸を使う場合、ロウを何回か通して毛羽立ちを抑えます。またこうする事でロウでコーティングされ丈夫になります。
ここでおそらく糸の長さはどうすればいいのだろう? という疑問がでてくるかと思います。糸の長さは「縫う辺の4倍の長さ+針の余裕部分」で考えておけばだいたい大丈夫です。
ちなみに縫っている途中で糸が足りなくなると結構ややこしいので、出来ればキッチリの長さより余裕を持っておきたいところ。
では、このロウ引きした糸を針に通します。レザークラフトの場合、両端に針がつくかたちになります。
針穴の部分に詰めてOKです。結ぶと玉が出来てしまい、縫い穴で詰まりますのでの、ここは僕の言うことを聞いておいた方がいいです。
反対側も同様に針を付けます。これで糸の両端に針が付いたことになります。では縫っていきましょう。
するとこうなります。
で、縫い終わりの部分ですが、基本的には見えない反対側の根元を少しだけ残しはさみで切って、ライターであぶってライターのお尻でつぶす。もしくはコテで焼き付けてつぶす、という風にまとめます。
この赤丸部分などは負荷のかかる箇所なので二重に縫います。
また最後の針も表に出たやつは一つ戻って裏面に糸を通してまとめるようにしましょう。
次にカードケースを重ねて接着し、右側だけ先に穴をあけました。この部分は先に縫います。
なぜ右だけ縫うかというと、この後カバーとくっつけてしまうので、その後では縫えなくなるからです。
次はスマホをくっつける部分を貼り合わせます。ここは全面に接着剤を塗りガッツリと貼り合わせます。
乾かして綺麗にくっつきました。
折り曲げ部分にシワが……。大きなミスです。平らにして貼り合わせたために、革の厚みの分、内側にシワがよってしまいました……。
このままではあまりにかっこわるいのでやり直します。しかし失敗を想定していなかったので革がもうありません……。
はい。再び浅草橋!
そういや、前も財布作った時に同じ失敗をしたような……。悪夢は再び繰り返されるのです。
はい! では気を取り直して!!
ボタンを付ける出っ張りはあらかじめ曲げた状態で貼り合わせます。こうしないと曲げた時にどうしても皺が出ますので。(失敗したのは無かったことにしました)
また、曲げて張り合わせると内側の革がはみ出るのでその部分は綺麗に切り落とします。
乾いたら次はボタンを取り付けましょう。
今回は革が厚めなのでバネホックより強力なジャンパーホックと呼ばれるボタンを取り付けます。
このジャンパーホックだけでなく、ボタン類は金、銀、真鍮、黒などの種類があります。
まず金具を取り付けるための穴を空けます。この道具は先端に丸い刃物が付いていて上から金槌で打つと綺麗に穴があきます。
フックを打ち付ける時は専用の台を使います。
はい。しっかり貼れました。形になってきましたね。
角を丸く切って、針穴をあけていきます。
あっ、カメラの穴もくりぬいて空けておきます。少しやりづらいので苦労してください。
さて、大事な仕上げが残っています。
それは……コバ磨き!
コバってこれです。床面もそうですが、そのままでは毛羽立っていたり、ガタガタしています。
これをひたすら磨いて綺麗にするのです。ここの仕上げで見た目の印象ががらっと変わります。
このコバ磨き、実はかなり奥が深くて調べても人によってやり方は様々なようです。僕も模索中ですね。
今回は荒いやすりをかける→細かいヤスリをかける→トコノールで磨くという行程でいきます。
まずは、荒目の紙ヤスリで大きく整えます。
その後、細かいヤスリでさらに整えていきます。
ここでまたトコノールの出番です。相変わらずいい名前ですね。指でコバに塗り伸ばして余り革や布巾などで磨きます。
ひたすら磨きます。ひたすら磨きます。
これ、まだ途中なのですが削って磨いてを繰り返して綺麗にしていきます。根気のいる作業です。
最後にスマホケースの取り付けです。接着剤で付けると耐久性に若干不安がありそうなので今回は両面テープで取り付けることに。
いざ、納品!
とある喫茶店にて待ちあわせ。ドキドキしながら渡します。
第一声が「キャー、嬉しい!」でした。
どうやら気に入ってもらえたようです。報われました!!
喜んでいただけて良かったです。ホッと胸をなで下ろしました。
今回は失敗したのも含めて色々と勉強になりました。やはり作ったことの無いモノでも、チャレンジするべきですね。
では今回はこの辺で!
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