1杯のコーヒーがつなぐ、人と人。そして可能性。【ONIBUS COFFEE】

朝、1杯のコーヒーを飲むこと。自転車に乗って移動すること。そして、食事をすること、誰かと話をすること、洋服を選ぶこと……。すべて、誰にとっても、まったく特別なことではありません。でも、そのひとつひとつの後ろにあるストーリーに、ほんの少し意識を向けてみれば、あなたの日常はちょっとだけ特別に輝き出すかもしれません。

ほんの少しのマインドチェンジが、東京の街を変えていく。

ただ美味しいコーヒーが飲めるだけではない。ただ人とつながっていけるだけでもない。“きっかけ”や“きづき”が含まれたコーヒーを提供し、常に新しい価値観と出会える場所としてオニバスコーヒーは存在しています。そして、その価値や効果を最大化しようと努めているからこそ、同店にはいつも多くのお客さんで溢れているのかもしれません。

「例えば、著名なシェフがいて、すごくよい食材だけを使い、地産地消にもこだわって、食べると体にもいい。そんな飲食店が増えましたよね。ただ、そんな食事を毎日できるかと言われると、やっぱり現実的に難しい。でもそれが出来るのがコーヒーだと思います。

我々はそういう飲食店と同じくらい、食材にも製法にもこだわっているし、材料の透明性にも非常に優れたものです。たとえば今飲んでいるものは、ホンジュラスの豆で、現地の農家さんを直接たずねて買い付けたもの。どんな斜面で、どんな肥料を使って、どういった家族構成の人が作っているか、すべて分かりますよ」

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    厳選された豆を“調理”する。それはまさに、“シェフ”としてのこだわり。

たとえば、自分が口にするものや身の周りに置くもの、人に伝えていくもの。それらをもっと丁寧に選択し、その価値をじっくりと見極めたい。誰だって本当はそう感じています。

とは言え、忙しい日常に忙殺され、また利便性に誘惑されることで、インスタントな選択や消費をしがちなのが現代人が抱える悩みです。

「確かに、すべて変えていくのは難しい。僕たちだってできません。だからこそ、コーヒーだけでもいいですし、移動手段を自転車に変えるだけでもいい。もしくは毎日コンビニで買っていたランチを、時に手づくりのお弁当屋さんにするだけでもいい。そういったほんの少しのマインドのチェンジができればいいですよね。お金をどこに使うかは、つまり投票と同じですから」

たった1杯のコーヒーがつなぎ、広げていく可能性。人々のちょっとしたマインドチェンジが、果てはこの大都市・東京すらも変えていくかも知れません。

「我々の取り組みを通して、お客さんがいつも飲んでいるコーヒーの背景に興味を持ち、ひいてはそれが『じゃあいつも食べている食材はどうなんだろう……』と、さらに思いを馳せるきっかけになるかも知れません。もし100人にひとりでも、そう思うようになれば、その時、東京はすこし住みやすい街になっているんじゃないかな」

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    それぞれの豆には、説明が添えられています。
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    商品の背後にあるストーリーに少し思いを馳せてみる。

コーヒーや自転車を通して、少しでも人々の考え方が変化すればと取り組む坂尾さん。より豊かな暮らしのために、自身も何か具体的に心がけていることがあるのでしょうか。

「僕が大切にしているのは、やはり“人”ですね。人とつながること。たとえば友人がつくったものだったら、市販されているものと比べて、自然と長く丁寧に使おうと思います。ものを選択するときには、できるだけ“ストーリー”があるものを探す。そういう選択をしていくと、さらに人とつながっていくサイクルが出来上がっていきます。

僕自身ももともとはすごく人見知りなのですが、人とのつながりでいろんなチャンスに出合い、その中で自分の生活が少しずつ豊かなものになっていったと感じています」

取材中ずっと、お店の女性スタッフが訪れる人に向かって、気軽に挨拶をし、簡単なコミュニケーションの中でほどよく打ち解けて、またそれぞれが自分の時間に戻っていく光景がたくさん見られました。

たとえばグアテマラで、ホンジュラスで、エチオピアで、現地の農家さんとのコミュニケーションの中から育まれた“つながり”や“可能性”の小さなかけらが、海を超え、コーヒーを通して、東京の人へと届けられ、またカタチを変え、次の場所で、新しい出会いのきっかけとなっていく。その連鎖がいつか、大都市・東京の暮らしに少しの変化を与えていく。坂尾さんの話を聞いていると、真面目にその時がくることを信じてしまいます。

ま、とはいえ難しいことは置いておいて、まずは美味しい1杯を。そしてお近くの人は、ぜひ、自転車で。

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PHOTO by Kaori Nozaki

ONIBUS COFFEE

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「ONIBUS」とはポルトガル語で“公共バス”、「万人の為に」という語源を持つ言葉です。バス停からバス停へと人を繋いでいく日常。そんなバスのように人と人を繋ぐという思いを込めて、オニバスコーヒーと名付けました。日常にとけ込んだ一杯、そんなコーヒーをお届けします。

URL:http://www.onibuscoffee.com/

RATIO & C

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ブリヂストンサイクルによるコンセプトショップ〈レシオ・アンドシー〉は「自転車と」あらゆるライフスタイルとをつなぐコミュニティ&スペース。

住所:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3-1-26
営業時間:08:30~19:00(平日・併設するショップは10:00〜)/ 10:00~19:00(土日祝)
TEL:03-6438-1971

URL:http://ratio-c.jp/

WRITER'S VOICE

「お金をどこに使うかは、投票と同じ」という言葉が印象的。

以前、リノスタでチョークボーイの取材を行ったのが、オニバスコーヒーの中目黒店でした。その時にお客さんに笑顔でコーヒーを淹れていたのが、坂尾さん。取材終わりですこしお話をする中で、この取材がセッティングされました。つまり、あの時にすでに、オニバスコーヒーを介して、僕たちの間にも“つながり”が生まれていたんですね。これこそが、坂尾さんがずっとやってきたことなんだと改めて感じました。

ちなみにこの日にいただいたのは、ホンジュラスのコーヒー。ホットを頼んだのですが、冷めてもすごく美味しかったのに驚きました。

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