文鳥が7歳になった。
結婚1年目の秋に、ヒナだった文鳥がわが家にやってきた。その直後に義母の病気が判明した。祈りもむなしく義母は1年も経たずに亡くなってしまった。
私はその数年前に、実母を似た病気で亡くしていたので、治療法について聞いたり病院に行ったりするたびに、そのときのことをなぞっているような気持ちになってしまい、とてもつらかった。病院の廊下を歩きながら、帰りながら、よくひとりで泣いていた。
母がいなくなってずっとさびしかったけれど、結婚してまた「お母さん」と呼べる人ができてうれしかった。なのにまたいなくなってしまった。そばにいてほしい人が次々と、みんな離れて行ってしまうように思えて、毎日心細くて怖かった。
たまたまそのタイミングで文鳥が来てくれて、おかげでわが家には笑顔もあった。あの時期を楽しい思い出として思い返すことができるのは文鳥のおかげだ。
それから7年。悲しい別れもあったけど、新しい出会いも命の誕生もあった。でも、いなくなった人の代わりには誰もなれなくて、その人がいた場所はいつまでもぽっかりと空いていて、お別れはいつまで経ってもただたださびしい。「お母さんがいたらな…話したいな…少しだけでも会えないかな…」と思うこともどんどん増えてきてしまった。
文鳥は、あの頃と変わらず、毎日元気に怒ったり水浴びをしたりくつろいだりしている。いろいろな変化があって、7年前の自分をときどき別人のように遠く感じるけれど、文鳥はずっと変わらず文鳥だ。
文鳥が誕生日を迎えるたびに、元気に1年過ごせたことに心からホッとして、そして少しさびしくなる。文鳥の誕生日は一生の間にどんなに多くても十数回しかないから。
いてくれるだけでうれしい存在。私も誰かにとってそういう存在になれているかはわからないけど、そうであれたらいいなとは思っている。毎日何かを成し遂げているわけでもなく、自信をなくすこともたくさんあるけれど、いるだけでもまぁいいか、と思ってこの世界にいつづけたいなと思う。
amycco.
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