週末、家族3人で喫茶店でモーニングをする時間が一番幸せだ。
朝の喫茶店は静かだ。1人か2〜3人で来ている人が多い。
老夫婦が一緒にコーヒーを飲みながら特に何もしゃべらずそれぞれ選んだ雑誌を読んでいる。
うちは母も義母も早くに亡くなってしまったので、老夫婦を見ると、この年齢まで2人とも元気で一緒に喫茶店に行こうと思えるぐらい仲がいいんだなぁと勝手に胸がいっぱいになってしまう。
こんな老後を過ごせたらなぁとこっそり思う。
今まで電車でばかり出かけていたので気付かなかったけれど、駅からちょっと離れたところに雰囲気のいいお店が結構ある。
郊外なので席間も広くてゆったりしているし、緑豊かな庭があったり景色のいいところも多くて楽しい。
喫茶店開拓のために車がほしいなぁと思うぐらいだ。
朝から出かけるので、それから買い物を済ませたり公園で遊んだりして帰ってきてもまだ昼過ぎ。
1日が長く感じられるのもちょっとうれしい。
子が生まれる前は、朝なかなか起きられなくてモーニングの時間帯に準備が整わないのでモーニングなんてなかなか行けなかったのに。変わるものだなぁ。
なかなか遠方への旅に出られないので気晴らしに近所のモーニングに行ってみて、人の集まるところには行けないので郊外のゆったりとした空間で過ごすようになって、
楽しみの幅が狭くなって、その中から今選べるものを選んでいたら今まで気付かなかったものに出会えて世界が逆に広がった感じがときどきする。
子はきっとあっという間に成長して巣立ってしまうからいつまで3人で行けるのかはわからない。
将来、楽しいことがあれこれ制限されて家族以外の人と集まることもなかなかできず、3人で喫茶店に行くのだけが楽しみだったこの時代のことを、一番幸せな時代だったなぁと思い出しそうな気さえしてしまう。
こんなに先行きが不透明で心細い時代なのに、喫茶店でコーヒーの香りにつつまれてモリモリ朝ごはんを食べている瞬間は先のことを忘れてそんな気持ちになる。
朝ごはんが楽しいと1日が楽しくなる。
すぐに行ける場所にささやかな幸せがあるのっていいな。
喫茶店をやってくれている人にありがとうと言いたい。
一生、喫茶店でモーニングするのが楽しみな人生を送れたら本当に幸せだと思う。
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