“シェア”市場の拡大で、多様な豊かさを実現する【ひつじ不動産】

“オシャレオモシロフドウサンメディア ひつじ不動産”。シェアハウスに関するポータルサイトとして、物件の紹介だけでなく、関連するイベントや市場調査レポートなど、さまざまな角度からシェアハウスに迫る情報を発信し、圧倒的な人気を博しています。
今回は、そのひつじ不動産がプロデュース・運営するシェアオフィス『PoRTAL』にて、立ち上げ人であり、運営会社の代表を務める北川さんにお話を伺いました。
サービスのスタートに至った経緯から今後の展望まで、ライフスタイル提案としても、“メディア論”としても、深さ、濃さともスペシャルな内容でお届け。シェア生活を考えている人も、シェアハウスの事業者も、はたまた空き物件に困っている物件のオーナーやメディア運営者も、必見の内容です!

これからの時代に、ひつじ不動産ができること

サービス開始時とは比べ物にならないレベルに市場規模は拡大し、ひつじ不動産のメディアとしての知名度も文句なし。時代は大きく変わったようにも思えます。

そんな中で、当初から掲げていた『普通の人のシェア生活』が実現されるための条件や戦略なども、体系的なものとなってきたと、北川さんは話してくれました。

「意外に思われることも多いのですが、シェアハウスの運用は、その道のプロによるきちんとした仕事が必要不可欠。シェアハウスのことをよく知らない人が何となく集まって、片手間でできることではありません。例えば1~2年といった短期間で、かつ、出入りする人も本当に限られているような状態ならまだしも、そうではない規模で、本当に住みやすい物件をつくるとなると、それなりの投資が必要になります。投資が必要ということは、当然、5~10年先を見越した上でのビジネスとしての妥当性が見えていないといけません。

また、物件の適切な管理や、住人とのほどよい関係性の構築、建物全体を衛生的に保ち続けるための取り組みなど、専門的な領域がたくさんあって、きちんとした知識や体制もなく5~10年維持できるかというと、やはり難しい。僕の経験則で言っても、そういった知識や意識のある人が、どんなカタチにせよ存在せずに運営している物件が、問題を抱えずに続くことはあり得ません」

入居者の最低限のデリカシーやリテラシーも必要ですが、それ以上にプロによるプロの仕事こそが、健全なシェアハウス運用には必要だと北川さんは厳しく目を光らせます。ただその一方で、信頼のおける事業者の数も揃い、ようやく市場拡大のためのきちんとした取り組みが行えるタイミングが来たと感じることもあるそうです。

「我々は、マーメットメイクを目的としたプラットフォームとして、そういった丁寧な運用をしているプレイヤーにユーザーを集めるための取り組みを、今後も行っていかなければいけません。

安全性や住みやすさを高めるためのポイントや抑えるべき法令など、シェアハウス運用のための基本的なセオリーがいろいろとあるので、それらをひとつのパッケージにして、セミナーなどを通して提供しています」

  • 20100902
    セミナーでは、さまざまな議論が交わされます。

物件オープン時に派手な打ち出しを行ったにも関わらず消えて行ったもの、逆に、そうではないのに空室を作らず地道に運用されているもの。市場の動向や流行り廃りを長きに渡って見守ってきた北川さんが、もうひとつ大切なことを教えてくれました。

それは、コンセプトやアイデアよりも、具体的で技術的な知見を重視すべきであるということ。

「『○○型シェアハウス』とか『○○スタイルで〜』といった、企画書で映えるようなコンセプトや謳い文句は、すでに世の中に溢れかえっているし、その中で本当に機能しているものがどれくらいあるかというと、甚だ疑問が残ります。もちろん、Webメディアでバズらせるためには有用かもしれませんが、なかには住宅として本当にそこに価値が生まれているか疑問なものもあります。けっきょく数年たったら『コンセプトってなんだっけ?』みたいになってしまっているのを私たちはいくつも見てきています。

それよりも大事なのは、もっと技術的なアプローチなんです。その方向で考えると、この分野にはまだまだすごく伸びしろがあると思います。多くの人が“ゴール”から考えがちですが、それは地道に運用していった結果、現れてくるものですから」

  • IMG_0400
    これからの北川さんの取り組みに期待大!

シェアハウスにかぎらず、都内のあらゆる場所で空き家の問題が報じられ、圧倒的に床が余っている状態が見られる昨今。必然的に物件オーナーは他との差別化を図る必要に迫られてく。北川さんはそう話します。

「国の経済がある程度の成熟を迎え、住まいにおいてもオフィスにおいても、現代人はより多様な豊かさを求めています。例えば、オフィスで言うなら『できるだけ抜けのいい広い空間で』とか、『疲れたらソファで休憩したい』とか『機能的なキッチンがほしい』とか……。ただ、不動産は他の商材と違って、そこまで多様化されたニーズに応えられるものをドンドン作るのは難しい。そういった問題を丁寧に紐解いていくと、自然と『シェアハウス』や『シェアオフィス』という解が出てくると思います。

現在の日本は、いろいろなベクトルの豊かさを実現させるべき時期に入っている。そのひとつの実装法として、シェアハウスやシェアオフィスがあるのではないでしょうか。そのお手伝いをこれからもやっていけるといいですね」

実家の近くでひっそりと営まれていた外人ハウスの扉を恐る恐る空けたあの瞬間から、すでに15年以上の歳月が経ちました。北川さんが願った通り、その場所に転がっていた奇跡のようなライフスタイルを、もう一度、北川さん自身が楽しめる日は来るのでしょうか。これからの取組みに、また大きな期待がかかります。

1 2 3

PHOTO by Kaori Nozaki / ひつじ不動産より支給

オシャレオモシロフドウサンメディア ひつじ不動産

hituji_logo

シェアハウスの総合メディア。

2005年5月末の運営開始から、シェアハウスという文化の拡大と歩みを合わせ、その時々の市場全体の様々な課題の解消などに向き合いつつ、日々地道な取り組みを続けています。

URL:https://www.hituji.jp/

PoRTAL

IMG_0295

つかえる、はかどる、ひろがる仕事場。

東京都渋谷区渋谷1-17-1 TOC第2ビル3F
JR線、東京メトロ、東急線「渋谷」駅徒歩3分
TEL:03-6427-5892

URL:https://www.hituji.jp/portal/

WRITER'S VOICE

お話し上手で、思考力も抜群! また取材したい!!

お話の中には、この原稿の中には掲載できないトピックスが満載で、連載コラムでも担当してもらいたいくらいに、興味深い話題をたくさん放り込んでいただきました。テープを回した時間で言うと、リノスタの取材では最長だったような……。

そして何よりも「マーケットの拡大」という目的に向けて、とてもロジカルで、説得力やインパクトに満ちた戦略を打ち出していく様には感嘆。時には、お金儲けまでも二の次にしてまで突き進む様子がよくわかり、経営者として、またマーケットを作りだす縁の下の力持ちとして、その手法やスタンスは非常に勉強になりました。

関連する特集記事はこちら関連特集記事