“価値観のリミックス”で、新たな生き方・暮らし方を発信。【Waltz】

「from Nakameguro to Everywhere」
世界的アーティストであるコーネリアスは、2001年にリリースした名盤『POINT』の副題に、作品への矜持も込めて、「Nakemeguro=中目黒」という地名を冠します。
あれから十数年。サブカルチャーの聖地だったこの地も、少しずつ様相を異にしました。相変わらず多くの若者が行き交うものの、音楽の匂いも、カルチャーの匂いもあまりしてこない。良くも悪くも、中目黒は生まれ変わった。昔を知る人は、皆そう口にしています。
しかし今、この地で新しいムーブメントが生まれようとしているのです。キーワードは“価値観のリミックス”。中目黒近辺に生まれ育ち、街の変遷を見続けた1人の男が見据える先にあるのはどんなものなのでしょうか。

デジタルからぬけ出した、次の生活。

懐かしさと目新しさ、プロダクトとしての愛らしさも相まって一般のユーザーに大人気なWaltz。しかし、足繁く通っているのは、ただのミュージックラバーだけではないようです。

「今後の展望として、まずはレコードメーカーと組んで、これまでにリリースされた無数のカタログをカセットテープで再発しようというプロジェクトを進めています。

また家電メーカーとは、ハード、つまりラジカセやウォークマンの再発の話もあります。 ご存知のとおり、いま音楽業界は死に体で、新しい動きを求めている人は多い。幸いにも前職の関係で、そういったつながりは無数にありますから」

カセットテープを巻き戻すかのように、時代を巻き戻し、1つのビジネスを再建する。構想は果てしなく大きいが、これは決して夢物語ではありません。実際にメーカーの視察が後を絶たない状況が、すでに出来上がっているのです。

  • 角田さんの考える次の一手が、音楽業界を動かすかも?

古くからあるものに価値を見出し、手を加え、大切にし、人に伝え、喜んでもらう。そんなシンプルな構造の中から生み出される価値は、今の時代、むしろ新しいものに見えてきます。

「私はいつも“価値観のリミックス”ということを意識しています。考えてもみてください。アマゾンにいた人間が今、こんなローカルな店舗で、非常にアナログな商材を手売りしているんですよ?

あそこに並んでいるラジカセだって同じです。あれらすべて、リサイクルショップにあったら数百円のガラクタかもしれない。でもちゃんと整備をしてあげて、キレイに並べれば、一種のアートだと評してくださる人まで出てきます」

  • 清潔で余裕のある商品ディスプレイは、多くのユーザーに嬉しい気遣い。

「そうやって様々な価値観を混ぜあわせて、また新たな価値を与えていく。その中で、新しいビジネスも生まれていくんじゃないでしょうか」

効率や利便性が重視され、スマホ1つで何でもすぐに手に入る時代。彼のアイデアは新鮮で、理にかなっていて、そして何より、生き方として気持ちよく感じます。

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    どこかジャンクなカラーがむしろ今っぽい!
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    この地から、どんなムーブメントが生まれていくのか。

「今、多くの人がデジタルデバイスに生活を支配されている。誰もがスマホを片手に1日を過ごし、SNSを気にしながら生きていますよね。でも、そんなデジタルな生活から一歩ぬけ出すと、また違う景色があります。

例えば、家にラジカセを1台おいて、カセットテープを聞いてみる。スマホアプリを使わずにラジオの周波数を合わしてみる。そういう行為って、すごく生活を豊かにすると思いますよ」

デジタルとアナログ、ローカルとグローバル、アンダーグランドとコマーシャリズム……。この場所を介して、たくさんの価値観がぶつかり合い、また新たなものが発信されていきます。

「from Nakameguro to Everywhere」

かつて世界的アーティストによって高らかに宣言されたその言葉に、中目黒のレコードショップを自転車で走り回っていた音楽少年が今、もう一度、新しい命を吹きこもうとしています。

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PHOTO by Kaori Nozaki

Waltz

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東京都目黒区 中目黒4丁目15−5

Tel. 03-5734-1017

営業時間 13:00 – 20:00
定休日  月曜日

http://waltz-store.co.jp/

WRITER'S VOICE

人生ベストアルバムの1枚、家の棚に飾ってます。

ベタな感想だけど、お店に入った瞬間「え? これってカセットでもリリースされていたの?」の連続。そこからは物欲マックスで、とりあえず、ツェッペリンの『Ⅱ』、マッシブの『メザニーン』、マイブラの『ラブレス』、そしてレディオヘッドの『キッドA』の4枚を自分の中でノミネート。その中から1枚だけ買って帰ろうと決めて、悩みに悩んだ結果、『キッドA』にしました。

え? リスニングの環境はあるかって? もちろんないよ! なくてもいいんだよ!! そんな既成概念に捉えられないことが大切って学んだからね。

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